「性犯罪者」情報を公開すべきか?
マスコミの報道では、既に、逮捕された男性が、誘拐・殺人の「犯人」であるかのような「犯人視報道」が続いており、その男性のプライバシーが暴かれている。
しかしながら、現時点では、まだ、被疑者が誘拐容疑で逮捕されただけの段階であり、無罪推定の原則から、慎重な報道が期待されるところである。
ところで、マスコミの報道は、逮捕された被疑者が、過去に、強制わいせつ罪で有罪判決を受けたことがあるという前科を報道するとともに、「米国や英国、韓国は90年代半ば以降、未成年者への性犯罪で有罪が確定した者を対象に個人情報公開などに踏み切った。」(毎日新聞の記事)などという世界の動向を紹介しつつ、我が国でも導入を求める論調が広く見られる。
この状況は、何となく、池田小の児童殺傷事件が発生した直後の状況に似ているように感じる。
池田小事件の直後、マスコミは、この事件の被疑者が「野放し」になっていたことを批判した。小泉首相は、「精神的に問題のある人が逮捕されても、社会に戻ってひどい事件を起こすことがかなり出ている。医療、刑法の点でまだまだ対応しなければならない」と発言した。
それがきっかけになって、「心神喪失者等医療観察法案」が国会に提出され、2003年7月10日に成立し、2005年7月までに施行される予定となっている。重大な刑事事件を犯す精神障害者を「医療」の名の下に、強制的に、入院・治療させることが認められるようになったのである。
今回は、性犯罪者を対象として、そのような犯罪を犯して刑を受け終えた者に関する情報を、地域住民に情報公開する制度の導入が叫ばれようとしている。
つまり、池田小事件の時も、今回の奈良の小学生誘拐事件の時も、たまたま発生した刑事事件をきっかけに、普通の状況であれば導入することが難しい新しい制度を、一気に導入しようという強い動きを感じるのである。そして、その世論作りの役目を果たしているのはマスコミの報道である。
今回の事件については、事件の悲惨さを詳細に報道し、こういう事件が二度と起きないためには、性犯罪者に関する情報公開以外には手段がないかのような報道をすることによって、世論を形成しようとしている。そして、マスコミ報道に弱い日本人は、既にそういう雰囲気に慣らされつつあるのである。
しかし、今だからこそ、冷静に考える必要がある。今回の事件については、まだ、逮捕された被疑者が犯人と確定した訳ではないし、仮に、将来、犯人と確定したとしても、何故、過去の前科との関係で、今回の犯罪を犯すに至ったのか、その原因を研究する必要があるはずである。
つまり、性犯罪を犯した者が刑務所においてきちんとした性犯罪者に対するメンタルケアなどの更生プログラム(我が国では、まだまだ不十分である)を施すことで再犯を減らすことができないのかどうかを十分に検証する必要がある。
性犯罪を防止するには、性犯罪を犯した者をいかに更生させるかにかかっており、性犯罪者に対する情報公開よりも前に、力を入れるべきである。
ところが、今回、情報公開の方に力点が置かれた報道がなされているのは、政府にとって、情報公開の方が、「安上がり」で手っ取り早い方法だと考えているからではないだろうか。
いずれにしても、今回の報道を見ていると、どんどんと、性犯罪者の情報公開の方に向かって進んでいるような気がしてならない。
しかし、こういう事件が起きた直後だからこそ、社会として、根本的に、このような性犯罪が起こらないような社会をどのように作っていくのかを考える必要があるのではないか。
例えば、社会の中に、性欲を刺激する雑誌や広告が溢れている現状や、「援助交際」という名の下に、未成年者の買売春が行われている(大人たちが買っている)現状をこのままにしていいのかどうかも含め、もう一度、根本的に考え直す必要があるのではないか。
それをしないで、安易に、性犯罪者の情報公開だけに走ろうとする現在の状況に対して、強い危惧を感じざるを得ない。
【Today's Back Music】
佐藤竹善/「THE HITS ~CORNERSTONES 3~」(UPCH-1388)
シング・ライク・トーキングのボーカルの佐藤竹善のソロ活動として、洋楽・邦楽のカバーがあります。これは最近出た3枚目のアルバム。近く、3枚分からセレクトしたベスト盤も出るそうです。
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Tracked on 2005.01.17 at 02:13 PM

Comments
私もあなたの意見に全く同感。
性犯罪に限らず、他の犯罪についても、受刑者についてはその更生に向けて、刑務所内で、あるいは出所後にどれだけの社会的な取り組みが行われているのか、きわめて怪しいのではないでしょうか?
再犯率の高いものについては、まずは今の更生に向けての取り組みがどんな状況なのか、そこをまずもって問う必要があると思っています。
そこを問わずして、ただただ欧米諸国が導入したような性犯罪歴公開の方向性に世論を誘導するかのようなテレビや新聞の伝え方には、正直腹が立ってしかたがありません。
Posted by: 一兵庫県民 | 2005.01.04 at 06:12 PM
現状の取り組みがお粗末なのは,おそらく御指摘のとおりなのでしょう。
しかし,性犯罪者の更生プログラムって具体的にどんな方法論が有効なのでしょうか。また,社会的な取り組みと言いますが,性犯罪者の出所後の更生に向けての取り組みに関わりたいという奇特な市民はどれだけ期待できるのでしょうか。私ならそんな人と話もしたくありません。
前歴者は,住所氏名を公開された方が,周囲から警戒されていると感じて,行動も自重するのではないでしょうか。
Posted by: 通りすがりの者 | 2005.01.05 at 04:18 PM
一兵庫県民さん
はじめまして。コメントありがとうございました。残念ながら、これまで、刑務所内では、十分な加害者更生プログラムは施されてこなかったと思います。徐々に変わりつつありますが。
そのような現状をもっと広く知らせるべきだと思いますね。
今後とも宜しくお願いします。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.06 at 03:40 AM
通りすがりの者さん
はじめまして。率直なコメントありがとうございました。
我が国では、そもそも、「犯罪者」の更生のために、地域住民がその更生に協力したり、受け入れるという側面が弱いと思います。
また、性犯罪者の中にも、やったことを反省して再犯の可能性がほとんどない者とそうでない者がいるように思います。前者については、地域住民はこれを受け入れるべきだと思います。後者については、やはり、更生プログラムを施して、精神的なケアを行う必要があると思います。
性犯罪者の住所等を公表された場合、最悪の場合、その地域で仕事をしたり、住むこと自体が困難になるという面を有していることを考える必要があるのではないかと思います。
いずれにしても、性犯罪者の住所等を公表するだけでは、この問題は解決しないように思います。
今後とも、ご意見をお寄せいただければ幸いです。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.06 at 03:46 AM
勉強になる文章を、いつもありがとうございます。
さて、性犯罪者の公表についてですが、「性犯罪者の住所等を公表するだけでは、この問題は解決しないように思います。」というのは、まさにその通りだとは思いますが(解決するならとっくにしていたでしょう)、一市民の立場からは、やはり、公表に賛成といわざるを得ないと思い、文章をかいております。
思うに、例えば今回の事件についていうならば、私を含め、普通に子供をもつ親は、、
・彼は刑務所から出てきて欲しくない(もちろん有罪となった場合ですが)。
・万が一、刑務所から出てくるとすれば、自分の家族の近くには住んで欲しくない。
というのが、率直な感情ではないかなと思います。
こんな感情を持っている一般人に対して、「今あるこの風潮は危険だ不安だ」と言われても、「そうはいっても」と思うだけです。「これこれこういう更正プロジェクトを行えば、公表しなくても再犯は起こらないので、みなさんご協力を、ご安心を」と言える説得力ある更正プロジェクトを言われない限り、ムリだと思います。マスコミや政府批判(なぜ政府が出てくるのか、論理的にやや謎ですが)は結構ですが(嫌味ではなく)、批判だけを眺めても「じゃ、どうするの」と思うだけで、やはり具体性がないと賛成できないところです。反対なさるなら、それなりの対案が欲しいところです。
マスコミが公表を誘う風潮を作っているのは実感しますが、今回に限らず、多くのマスコミ報道は偏見に満ち満ちたものであるのは、世の常です。でもそれが世論ですし、世論で政治は動きますからね。
とめどない文章で、かつ、失礼な内容だったかもしれませんが、一意見としてお聞き頂ければと思います。
Posted by: taka | 2005.01.06 at 01:11 PM
あけましておめでとうございます。
凶悪事件が起きる度に元犯罪者の情報公開が議論になりますが、私からすると「一般市民が知ってどうするのか?」という疑問があります。
そもそも街を歩いている人の中には元犯罪者がいるのかもしれないのです。元犯罪者のことばかり気にするときりがありません。かえって「知らない方がよかった」場合もあるかもしれません。
元犯罪者の情報は警察・自治体が把握しておけば済む話だと思います。
>性欲を刺激する雑誌や広告が溢れている現状
これに関して言えば、法規制は反対でマスメディアのモラルに任せるべきだと思います。それでも「臭い物に蓋」にならないよう議論すべきでしょう。
Posted by: Piichan | 2005.01.06 at 10:22 PM
私も、元犯罪者の情報公開を迫る議論がある一方で、今でも私たちは「元犯罪者」であることを知らずに、その人たちと一緒に暮らしているもうひとつの現実があることを忘れてはいけないと思っています。
また、性犯罪者かどうかは別として、今も誰かのいう「奇特な方々」に支えられて、刑務所出所後の方が社会復帰を遂げているケースがいくつもあるのではないですか。
こういった出所後の社会復帰がうまくいったケースと、再犯に至ったケースとの間に、いったいどういう社会的な条件のちがいがあったのか。
この点についての冷静な比較検討をふまえた議論を知る前に、安易に「元犯罪者情報の公開」という今の世論には賛成しかねますね。それしか本当に方法はないのか、と言いたいです。
それと、やっぱり、性犯罪者の再犯率が本当に他の犯罪に比べて高いのかどうか。いろんなデータがマスメディアを通じて語られますが、まずは、そのデータの出所がなんなのか知りたいです。
Posted by: 一兵庫県民 | 2005.01.07 at 05:36 AM
ビートニクス様
新年のご挨拶が遅れて大変恐縮です。
昨年末から2日にかけては個人的都合に、また2日後半以降はスマトラ沖地震の把握と検討にそれぞれ時間をとられてしまい、奈良の事件については、以下の記事へのコメントとして一言述べるにとどまってしまいました。
http://henkyonews.cocolog-nifty.com/articles/2005/01/post_1.html
奈良の事件については、ビートニクス様の記事に特に付け加えることはございません。犯人視報道、無罪推定の原則のみならず、更正プログラムにまで考察されているのは、さすがだと思いました。
本年もよろしくお願いいたします。
Posted by: 辺境通信 | 2005.01.08 at 05:40 PM
今年も宜しくお願いいたします。
今回の事件ではビートニクス様と同感です。ただ、犯人に違いないとは思っていますが(ただ、裁判で罪を認め、争わない段階で初めて犯人とみなすべきですが)
故・T元死刑囚の事件で精神障害者への規制強化が行われたように性犯罪者の情報公開がなし崩し的に行われていようとしています。私もそれに対しては一定の範囲内で甘受せざるを得ないと思っています(その前に更生やケアが必要なのが大前提ですが)。
しかし、それが警察・検察など治安・司法権力の権限強化・利権確保につながっていると思うと忸怩たる思いがします。前者では福祉利権、後者では情報通信利権を狙っていると思います。
>社会の中に、性欲を刺激する雑誌や広告が溢れている現状や、「援助交際」という名の下に、未成年者の買売春が行われている(大人たちが買っている)現状をこのままにしていいのかどうか
夕刊紙や成人誌がそれを煽りながらも性犯罪者を糾弾している矛盾に気付かないといけませんね。
結局「俺たちは大丈夫だ」という意識を植え付けているだけですね。
Posted by: ボンド13 | 2005.01.09 at 07:45 PM
takaさん
コメントありがとうございます。お返事が遅れてすいません。
普通に子供をもつ親の立場として、性犯罪者の近くに住みたくないという感情を抱くことは否定できないことは確かだと思います。ただ、そこから、「性犯罪者」の情報開示が直ちに肯定されるかどうかは難しい問題です。
ただ、このような場合、当局における出所情報や前歴者情報の収集という制度と、これを住民に公開するという制度の2つの制度のあり方があると指摘されています(指宿信教授の下記ブログ参照)。
http://imak.exblog.jp/m2005-01-01/#1518235
最近、警察庁が打ち出したのも前者の制度のようです。これは後者と比較すると、前者よりは、まだ導入の検討の余地はありそうです(もっとも、法務大臣は慎重な意見を述べたそうです)。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.11 at 10:49 AM
piichanさん
コメントありがとうございました。
ご指摘のとおり、犯罪者の情報は警察・自治体が把握しておけば済む話ではないかというのは、検討の余地のあることだと思います。
もっとも、それについても、刑を受け終えた者について当局が把握することが許されるかどうかという問題は残ることになります。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.11 at 10:50 AM
一兵庫県民さん
コメントありがとうございました。
確かに、立派に更生して頑張っているという人たちも多くいらっしゃると思います。
その意味では、ご指摘のとおり、再犯を犯す人がどうして再犯を犯すのかという点についての調査・研究が不可欠ではないかと思います。
それをしないで、犯罪者情報の開示に向かうのは、やはり危険だと思います。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.11 at 10:52 AM
辺境通信さん
コメントありがとうございました。
辺境通信さんのココログもいつも拝見しています。今年は少しペースが上がっているようで、毎日楽しみにしております。
今後とも宜しくお願いします。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.11 at 10:53 AM
ボンド13さん
コメントありがとうございました。
警察・検察など治安・司法権力の権限強化・利権確保に繋がっているとのご指摘は、その通りだと思います
特に、警察庁が犯罪者情報の収集に手を挙げたのはその傾向が強く感じられますので、今後も注意が必要だと思います。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.11 at 10:55 AM
自己レスです。
今日、小泉首相が、性犯罪者の服役後の住居情報について「少なくとも警察ではしっかりと把握する必要がある」と述べるとともに、「住民に知らせるのは問題で、米国でやっているようなものはなかなか難しい」と述べたと報じられています。これで、警察による性犯罪者情報の収集の制度化が一気に進む可能性が出てきました。今後の展開が危惧されます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050111-00000159-jij-pol
Posted by: ビートニクス | 2005.01.11 at 04:08 PM
性犯罪者の人権より、被害者の人権や社会の治安の方が重要関心事であるとすれば、前科者に対するその程度の人権侵害は許されるでしょうし、結果的にそれが犯罪抑止力を持つ蓋然性があればいいのではないでしょうか。
Posted by: そんなことを云ってもなあ | 2005.01.13 at 05:01 PM
ところで、被害者の人権や社会の治安のために「前科者に対するその程度の人権侵害が許される」とするときの人権保障の法的な論理構成とは、いったい、どんなものなんでしょうか?
この論理からすると、他のことでも、「社会の治安のために~に対する・・・程度の人権侵害は許されてよい」という拡大解釈が行われてしまいかねませんが。
Posted by: 一兵庫県民 | 2005.01.14 at 05:13 AM
http://macska.org/meg/consequences.html
ミーガン法が本当に効果あったのかどうかについて紹介したサイトを見つけました。
このサイトで紹介されている内容からすると、私の印象では、犯罪抑止等に対する効果よりも弊害のほうが大きいように思いますが。
Posted by: 一兵庫県民 | 2005.01.14 at 05:17 AM
警察で所在等把握することは必要だと思うが、
へたに住民に開示することはあまりいい解決にならないと思う。
開示すると、いい人間もいるが、大抵お前は...ということになり、開示された人間はうまく生きていけなくなる可能性が高い。残念ながら現在の情勢の現状である。困っている人を助ける状況もできつつあるが、上記のような現状も否めない。
開示するならその分の国のケアーの義務も入れたほうが良い。それか、よっぽど死刑(死刑に賛成ではないが)の方がましかもしれない。精神的苦痛を受けるくらいなら。
一番いいのはそういう犯罪がおこらない状況を作っていくのが望ましい。犯罪を起こす人は弱かったり、回りの環境が悪かったりするということが多いと思う。環境の影響は、北朝鮮やイラク、昔の戦時中の日本を考えればわかる。戦争にいって女性を犯したり、何もしない人をころしたり虐待したりと。
このような犯罪を犯すのは、その本人がいろんな意味でおかしいためであると思うので、そのような状況をつくらないシステムを作っていってほしい。たとえば、小林容疑者も小さいうち孤立していたと書かれているが、そんなことが孤立していた当時にわかってるならそのときに対処できたら望ましかった。
犯罪をした人で今、もしかしたらがんばって生きているひともいるかもしれない。だとしたら、その人たちがうまくいかなくなったら。このような犯罪と無縁のひとも、そんな社会では..という雰囲気になり、諸外国のような犯罪社会に成ってしまえて怖い。
日本の各個人(自分自身)のモラルをもっと高めて、気品があるようになったらすばらしいと思う。
Posted by: 通りすがり | 2005.01.14 at 10:00 AM
そんなことを言ってもなあさん
コメントありがとうございました。
犯罪抑止力を持つ蓋然性という時の「蓋然性」の程度が問題になると思います。
本当に抑止力があるのかどうかということがどれほど実証されているのか疑問に思っています。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.15 at 09:39 AM
一兵庫県民さん
ミーガン法を紹介したサイトを教えていただき、ありがとうございました。参考になります。
同じ「住民」として、刑を受け終えた者に、これだけの不利益を課するのが果たして妥当かどうかを慎重に検討する必要があると思います。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.15 at 09:42 AM
通りすがりさん
コメントありがとうございます。
今回の警察庁と法務省の協議では、当面、警察庁が性犯罪者情報を把握するだけですが、いずれ、住民に対する公開に向けて動いていく可能性が高いと思います。
犯罪者を生まないような国にしていくことは確かに必要です。今の小泉政権は、「勝ち組」「負け組」を作り、弱肉強食の世の中にしようとしていますが、これでは、「負け組」になった人が犯罪に走ることを止められないと思います。もう一度、日本の国のあり方を考える必要があると思います。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.15 at 09:45 AM
なんとなく関連がありそうなので、トラックバックさせていただきました。よろしくお願いします。
Posted by: 高田昌幸 | 2005.01.17 at 10:32 AM
ところで、警察は、法務省から提供を受けた性犯罪者情報を利用して、どのように再犯を防止しようと考えているのでしょうか。
Posted by: 小倉 | 2005.01.17 at 01:06 PM
初めまして。皆様の対話を興味深く拝読しまして、私もコメント&TBさせていただきます。
私は現在執行猶予期間中の身ですが、保護観察もなく野放し状態です。このような“放任主義的社会内処遇”では犯罪性向が進んだ者の矯正はありえません(不穏当な発言お許し下さい)。また、無償篤志家である保護司による矯正活動は就業支援が中心で、貧困や生活基盤の崩壊などに起因する犯罪の抑止に対しては有効でも、薬物依存や性犯罪などの再犯抑止に対しては限界があるでしょう。
私としては、刑罰に応報機能のみならず矯正教育による更生機能を求めていくのであれば、出所後の薬物犯罪者や性犯罪者に対し、断酒会的な治療プログラムや、ボランティア活動への参加を課すことなどによる“社会への順応”と“ソフトな監視”を施すべきであると考えております。
長文になり、申し訳ありません。
Posted by: an_accused | 2005.01.17 at 02:06 PM
法務省の労働組合である全法務省労働組合はどう考えているのか気になりますね。
同組合は刑務所問題には余り関心が無いようですし。
Posted by: Piichan | 2005.01.18 at 03:22 AM
an accusedさんのコメントについてですが、出所後の更生プログラムや「治療」的活動の必要性については、私も納得できる面があります。
再犯防止は社会を守るためという側面と、本人の不利益を回避するという側面の両面があると思いますから。
ただ、それをするためには、刑務所にいる間にもその取り組みは必要でしょう。
また、その取り組みを出所後も継続するような意識を高めることが、刑務所にいる間に必要なのではないかと思います。
いずれにせよ、例えば性犯罪者の場合、最近のこのブログ上の議論を見る限りですが、実刑判決⇒刑務所への収監⇒出所後の更生という過程について、体系的な取り組みがなされていないのではないかという気がしてきました。
マスメディア上では犯歴情報公開の話ばかりが取り上げられている感がありますが、こちらの方向性の議論ももっとやってほしいものです。
Posted by: 一兵庫県民 | 2005.01.18 at 08:18 AM
性犯罪者の情報提供の主体となる法務省が人権擁護部門を抱えていることの妥当性が議論される必要もあるかと思われます。
Posted by: Piichan | 2005.01.18 at 11:21 AM
小倉さん
確かに、性犯罪者情報を入手した警察がどのように性犯罪者の再犯を防ぐかですが、本気で再犯させないようにするには、24時間監視下に置くことしか考えられませんが、人員的にそんな余裕はないはずです。
したがって、再犯防止を理由に、地域住民への情報公開が必ず次に話題になることは否定できないのではないかと思います。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.18 at 12:21 PM
an accusedさん
コメントありがとうございました。
出所後の薬物犯罪者や性犯罪者に対して、治療プログラムや、ボランティア活動への参加を課すことなどによる“社会への順応”と“ソフトな監視”を施すべきであるとご意見に全く同感です。
なお、今日の報道では、法務省が仮釈放後の保護観察を強化する方針であることは伝えられています。
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2005011701004873
Posted by: ビートニクス | 2005.01.18 at 12:25 PM
一兵庫県民さん
コメントありがとうございました。
確かに、現在、刑務所は過剰収容で満杯状態で、一人一人の受刑者に対する丁寧な処遇ができる状態ではありませんし、以前からも、加害者厚生プログラムというのは、あまり使われていませんでした。最近は、いくつかの刑務所で試験的にこういう試みが始まっているとは聞いていますので、正式なプログラムとして、きめ細かい処遇がなされることを期待したいですね。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.18 at 12:28 PM
piichanさん
コメントありがとうございました。
確かに、一方で人権擁護の仕事をしながら、他方で、性犯罪者の個人情報を警察に提供することに矛盾を感じないのかどうか、疑問に思えますね。
Posted by: ビートニクス | 2005.01.18 at 12:35 PM
再びコメントさせていただきます。
「仮釈放後の保護観察強化」は施策の前進には違いないでしょうが、1,000名ほどの(管理職を除けば700名程度の)保護観察官で7万人の保護観察事件を抱えている現状で、さらにきめ細かい矯正指導を性犯罪者に対し行うよう指示することは、もはやイジメにも似ているように思われます(別に全司法の代弁者であるわけではありませんが)。
刑罰は応報を基本思想としており、本人が矯正しようがしまいが時期が来れば監視を解かれます。これは仮釈放中や執行猶予中の保護観察も同様です。社会が本当に性犯罪者の更生を求めるなら、刑の期間にかかわらず治癒するまで教育(あるいは治療)と監視を続ける必要があるわけで、そうなれば更生させるのは医療ということになります。刑罰か治療か、ではなく刑罰も治療も、というわけです。
ところが、この考え方を具体化するには大幅な予算措置が必要ですが、政府にはそのゆとりはありません。従って政府は、直ちに成果が見えない“治療”のコストをできるだけ抑え、“性犯罪者の所在情報公開”で監視のコストを社会に転嫁することを企図するでしょう。
Posted by: an_accused | 2005.01.20 at 07:57 PM
「性犯罪者の所在情報」を公開してもらったとして、地域社会はその情報をどう役立てようと言うのでしょうか。
Posted by: 小倉 | 2005.01.21 at 01:24 AM
小倉さま
>「性犯罪者の所在情報」を公開してもらったとして、地域社会はその情報をどう役立てようと言うのでしょうか
いささかひねくれた考え方ですが、
<警察による把握による効果>
犯罪発生時、容疑者リストの作成が容易になり、とりあえず捜査している気になれるという効果がある。犯行場所の近隣に居住する/犯行の手口が類似する犯歴者の洗い出しに集中するあまり初犯者を想定した捜査が後手にまわるため、再犯率を上昇させ、全体の検挙率を低下させる効果がある。
<所在情報の公開による効果>
性犯罪者を、投石の的や子どもに偏見を植え付ける際の生きた教材として活用できる。
法務省は、実は性犯罪者の所在を公開したところで性犯罪発生率の低下が期待できるわけではないと考えていて、手っ取り早く「対策をとりました」という言い訳をしたいだけなのではないでしょうか。
Posted by: an_accused | 2005.01.21 at 01:24 PM
警察はゴミ案件(軽微事件)は関心が低く、マスコミ受けする売上ポイントが高い強○事件はやりたがる。この段階で、人権より自己の成績が最優先。すると、情報公開は願ったりかなったり。建前は住民や被害防止と称するが。
少年施設(未成年者から原則26歳まで)では、家庭的に恵まれなかった者をのぞく一般犯罪者の大半が性犯罪。幼児に対する性犯罪は少ないにせよ、いずれ「性犯罪者は全て公開」へ邁進するのだから、若気の至りでやり直しが効く者から更正の機会を奪うことにつながると思う。
成人施設では、性犯罪者は少数派。初犯刑務所では覚醒剤がらみが大半。相当数の中高生の少女を薬漬けにしていた重症ロリコンも、罪名は覚醒剤だから公開対象からはずれる。覚醒剤関連の更生プログラムはあるが、単なる暇つぶし程度のもの。性犯罪関連の更生プログラムは無い。
ロリコン雑誌が、公然と販売されていた平成元年前後までの性犯罪刑期と幼女連続殺人事件以降の性犯罪刑期は比較にならないくらい長期化された。被害者の思いとは裏腹に、警察は捕まえることだけしか能が無い、検察は立件することしか能が無い、裁判所は刑期を言い渡すことしか能が無い、刑務所は刑期を終えさせることしか能が無い、必然的に社会で性的抑制が効かない結果犯行に及んだ性犯罪者を長期間隔離することが出所後どういう影響をもたらすか考えればわかりそうなもの。公開するならばそれと引き換えに即出所させて少しでも早く更生プログラムなるもの(効果は甚だ疑問)をはじめるべきではないか。カッとなって人殺しをしても6年ほど。少女を3人強姦して10年となれば、出所後たまった性欲を吐き出して殺人へ突っ走る凶行犯が増える結果となるだけのような気がする。個人的には15年受刑する位なら、死刑をのぞんでしまう。
以上、逮捕から仮出所を経るまで10年超経験した公開対象者からの投稿。何不自由なく生活しているが、住民に情報が渡る段階で凶行に走るんじゃないかと考えている。
Posted by: 傍観者 | 2005.04.22 at 05:05 AM
傍観者さん
詳しいコメントありがとうございました。非常に生々しいけれども、それが現実なんだろうと思います。確かに、日本でも、性犯罪の重罰化はどんどん進んでいます。アメリカなどでも、性犯罪が重罰化された結果、被害者を殺害するようになったと言われているようです。そういう意味では、日本は単純な殺人については刑罰が甘いのかもしれません。
いずれにしても、性犯罪者の情報を公表することによる弊害について、慎重に検討することが必要だと思います。勢いで、性犯罪者情報が公開されることは問題であると思います。
Posted by: ビートニクス | 2005.04.24 at 11:33 PM
1234567__765432117616
Posted by: robbin17616 | 2007.09.20 at 06:18 PM