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2005.09.12

9.11衆議院総選挙を終えて

 9月11日に投票並びに開票が行われた衆議院総選挙において、自民党は公示前の勢力を大幅に上回る296議席を獲得し、公明党と合わせて定数の3分の2を超える327議席を占めた。他方、野党の民主党は首都圏では壊滅的な敗北を喫し、公示前の勢力を大幅に下回る113議席にとどまった。マスコミの中には、自民党の勝利を「歴史的大勝利」と表現したところもあった。

 まさに悪夢を見るような最悪の選挙結果となった。今日発売の「日刊ゲンダイ」(9月13日号)は、「この国の民主主義は死んだ」という大きな見出しを掲げて、「この選挙結果は狂気の果てだ」、「これからこの国の暗黒の10年が必ず始まる」と書いている。

 小泉自民党は、「郵政民営化に賛成か、反対か」だけを問うとして、シングル・イシューだけで選挙戦を戦い、マスコミを利用した「小泉フィーバー」が作られ、国民はまんまとその戦術に乗せられて、人気投票のようにして、小泉自民党を大勝利させてしまった。

 巷間言われているように、小泉自民党は、公明党との連立政権で衆議院で3分の2の議席を獲得したことから、今後、法案については参議院で否決されても、再び衆議院で3分の2の賛成多数で可決することによって法案を成立させることが可能となる(憲法59条2項)。
 これによって、参議院の存在はほとんど無意味とされたことになる。

 そして、郵政法案については、仮に、もう一度参議院で否決されても、衆議院での再可決によって成立させることが可能になったのである。もっとも、造反議員は既に自民党の大勝を受けて、ほとんどが寝返りそうな勢いであるが。

 また、憲法改正の発議は、各議院の3分の2以上の賛成が必要であるが(憲法96条1項)、衆議院においてはこの要件を満たしたことになる。2年後の参議院選挙において、自民党が再び大勝すれば、その後、与党だけで憲法改正を発議することが可能となる。

 おそらく、今回、自民党候補に投票した国民の多くは、ここまで小泉自民党を勝たせるつもりはなかったかもしれない。しかしながら、この選挙結果は、今後の私たちの生活に対して、ボディブローのように効いてくることは間違いない。

 小泉自民党は、いわゆる「新自由主義」を体現している。つまり、「弱肉強食」の競争社会を理想とし、強くて富のある者はますます裕福に、弱くて貧困な者はますます貧困になるような社会を目指しているのである。

 この考えに基づいて、今秋以降、大企業には減税等の優遇策を、庶民やサラリーマンには大増税の嵐が訪れることだろう。また、2007年には確実に消費税が増税される。

 今回の選挙において、小泉自民党は、増税を全く争点にしないまま大勝しているが、今回の選挙に勝ったことで、小泉自民党は、「国民の信任を得た」として称して、秋以降に増税を次々と行うことは間違いない。つまり、私たちは、「白紙委任」してしまったことになるのである(白紙委任することの危険性については、山口二郎教授の「05年8月:総選挙で問われること」参照)。

 もともと、小泉首相は、全ての政策を官僚に「丸投げ」しているが、増税については、完全に財務省の言いなりになっているだけだからだ。今回の自民党のマニフェストも、全て官僚の作文であることが選挙期間中に、週刊誌によって暴露されている。

 小泉自民党は、憲法改正を目指して、次々と自衛隊の「軍隊」化を進め、アメリカの言いなりに、海外派兵を続けるだろう。既に、日米安保条約は、アジア・太平洋地域から地球規模に広げられようとしているのである(私のホームページの「日米新軍事同盟と日本の戦争国家化について考える」参照)。

 そして、最終的な仕上げは、憲法を改正して、憲法9条を骨抜きにするとともに、「国民の権利」をほとんど奪って、国民に義務だけを次々と課すだろう。その中には当然、徴兵制も入ってくるだろう。

 そこに至る過程においては、政府に反対する市民や労働組合などを弾圧するための法律が制定され、駆使されるだろう。早ければ、今年の秋の臨時国会において、「共謀罪」が与党多数で成立されられ、戦前の治安維持法のように、市民の自由な発言を封じるために濫用されることだろう。

 このように見てくると、「日刊ゲンダイ」が書いているように、まさに、これから「暗黒の時代」が始まるだろう。しかし、それは主権者である私たちが選んだ道なのだ。

 それは、ドイツにおいて、最も民主的なワイマール憲法の下で、ヒットラーが「民主的」に選ばれたこととよく似ている。市民は、時に、カリスマ的な指導者を間違って選ぶことがあるのである。

 私たちは、しばらくの間、吹きすさぶ嵐を真っ向から受けなければならないだろう。しかし、いつまでも、ただ絶望している訳にはいかない。私は、この時代に生きる者として、この情況を見据えながら、今後も発言し続けたい。

【Today's Back Music】
 山中千尋/Outside by the Swing(UCCJ-2040)
  ニューヨーク在住のピアニストのメジャー・デビュー作。これまで澤野工房で3CD+1DVDを発売していましたが、いよいよメジャーに。完成度は高いけれども、澤野工房でのデビュー時程のインパクトはないように感じたが、山中らしいピアノを聴かせてくれる。もう少し聴きこんどみたい。

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