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2005.09.30

共謀罪法案の国会再上程が近づいている

 通常国会が郵政法案の否決により解散されたことによって、共謀罪の新設を含む「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(以下「共謀罪法案」という)は廃案になっていたが、それが9月21日から開会されている特別国会に再上程されて成立させられそうな情勢となっている。
【10/6追記 予想通り、10月4日に閣議決定され、同日、再上程されている。】

 衆議院法務委員会でたった1日だけ行われた質疑においても、与党の委員からも原案に対する修正を強く求められる状況であったことから、廃案になった後には、さすがに政府原案のままの再上程は難しいから、修正等のために、すぐに国会に上程されるのは難しいのではないかと思っていたが、南野法務大臣は、9月20日の会見で、特別国会に再度提出する方針を示したと伝えられている。

 その後の情報によると、政府原案のまま、10月4日に閣議決定を行い、10月5日に国会に再上程の後、衆議院法務委員会で審議され、10月中旬頃に採決された後、参議院に送付されて、11月1日までが会期である特別国会中に成立させるというのが与党の方針であるという。

 共謀罪法案は、通常国会においては、民主党が強く反対して廃案を求めており、衆議院法務委員会の審議も1度開かれたきりで、以後全く審議が行われない事態のまま廃案となったという経緯があるが、先の衆議院総選挙によって、与党が大勝利を収めるとともに、民主党が大敗北を喫してしまったことから、国会での審議の状況が全く変わってしまった。

 国会審議の主導権は完全に与党が握り、共謀罪法案という問題を多く抱え、しかも、何種類もの法律の改正案を含んだ法律を、たった約1ヶ月の特別国会で成立させようというのであるから、無茶苦茶である。

 つまり、与党は最初から、国会で、この共謀罪法案を丁寧に審議するつもりなど全くないのだ。ただ、数の圧力だけで、表面的で形式的な審議だけして、反対があろうとも、最後は圧倒的な多数で可決するつもりなのである。

 これは、特別国会の最大の争点である郵政法案についても全く同様である。通常国会であれほど賛否が入り乱れた法案を、与党は10月中旬頃までには可決成立させようとしているのである。

 これは、先の衆議院総選挙で、国民が与党に3分の2以上の議席を与えてしまった時点で、既に決まっていたようなものである。仮に参議院で否決されても、再度、衆議院で3分の2の多数で可決すれば法案を成立させられる数の武器を手にした与党にとっては、もう何も怖いものはないはずである。衆議院総選挙は少なくとも4年は行われないと言われている。それまでの間、与党による数の「暴力」によって、国会が乗っ取られてしまい、まともな審議などなされないことになるだろう。
 そして、今回の共謀罪法案の審議は、与党にとっては、そのお手本のようなものになるだろう。

 この状況は、国民が民主主義の証である投票を通して、小泉総理の独裁体制を作り上げたのである。まさに、国民は、自分で自分の首を絞めてしまったのである。ドイツにおいて、もっとも進歩的と言われたワイマール憲法下において、国民の選挙によってヒトラーという独裁者を選んでしまったのと状況的にはよく似ている。まさに、「歴史は繰り返す」である。そして、私たち日本人は、いつものことであるが、あまりにも歴史を学ぼうとしない国民である。

 それにしても、共謀罪の新設が国会で可決成立する可能性がこれほど高まった時期はこれまでなかったと言える。あと1ヶ月もしたら、国会で成立しているかもしれないのだ。

 共謀罪の危険性については、このブログで何度も述べてきた。与党がするかもしれない多少の修正がなされたとしても、人と人のコミュニケーションそのものが犯罪となり、警察・検察の捜査の対象となるという事態は想像するだけで恐ろしい。

 そして、それを見張って取り締まるためと称して、街中の監視カメラには高性能マイクが取り付けられ、コンピュータに予めプログラムされた危険な言葉を聞きつけたら、直ちに監視カメラがターゲットを撮影するような監視社会が確実に訪れるだろう。

 先週、アメリカのシカゴに行ってきた(その内容については私のホームページ参照)。そこで感じたのは、アメリカ社会では、当たり前のように、共謀罪(コンスピラシー)が適用されているということである。
 カリスマ主婦のマーサ・スチュワートにも共謀罪が適用されていた( 「カリスマ主婦」マーサ・スチュアート事件とは、どんな事件だったか)。あちこちで当たり前のように共謀罪が適用されている話を聞いた。アメリカでは当たり前のように受け入れられていた。アメリカは、日本もそのようにしたいのだろうか。

 しかし、あきらめるのはまだ早い。まだ、私たちに残された時間はある。最後まで、あきらめないで、共謀罪法案の成立を阻止するために、できる限りのことをしたい。
 10月1日10月4日10月13日には、それぞれ、そのための集会が予定されている。私もその全てに参加するつもりである。

 この状況に無関心でいることが一番怖い。情勢を冷静に認識しつつ、共謀罪法案の成立を何としても阻止しなければならない。

【Today's Back Music】
 Brian Culbertson / It`s on Tonight(UCCR-1048)
  若手キーボード・プレーヤーのブライアン・カルバートンの新譜。私は、このアーティストは初めて聴きましたが、非常にクールなサウンドで、何度聴いても飽きないサウンドです。最近、毎日聴いています。

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「刑事立法」カテゴリの記事

Comments

こんにちは。
はじめまして。

共謀罪、以前から気にはなっているのですが、
単に条文(構成要件)をざっと見ただけでは、
まだ妥当かどうかの判断が出来ていない、
というのが正直なところです。
当然ですが、判例も先例もないわけですし。

ただ、少なくともあれだけの議席を
与党に与えた多くの投票行動の中に、
共謀罪の視点はないでしょうね。

現在の議会をめぐる状況の下では、
確かに十分な議論が尽くされるか
不安があります。

ただ、繰り返しますが、
現時点では僕の中に妥当不妥当の
答えがありません。
正直、ここに書き込むこと自体にも
逡巡があります。
こちらほどの明確な危機意識がないからです。

とりあえず、反対する方の
意見の表明を慎重に受領しつつ、
立法過程を出来る限り見守ろうとは
思っていますが。

あまり意味のないコメントかもしれませんが、
そんなところで。
失礼いたしました。

Posted by: ボクシングファン | 2005.10.02 at 07:31 PM

ボクシングファンさん
 率直な感想を書き込んでいただいてありがとうございます。いろんなブログで、共謀罪について言及していますので、是非、色々とお読みいただいて自分で判断していただきたいと思います。
 今特別国会での審議の状況に注目していただければと思います。
 昨日(10月4日)に閣議決定され、本日、国会に上程される予定です。
 今後とも宜しくお願いします。

Posted by: ビートニクス | 2005.10.05 at 08:56 AM

ご無沙汰しております。

修正はされるもののこのまま成立される可能性が濃厚だと思います。読売や産経は「テロ対策や組織犯罪対策に必要だ。市民が安心して暮らせるために必要だ」と諸手を上げて賛成していますね。
「御用商人」のはずがいつかは捨てられて捜査対象にならない限り分からないのでしょうか。
それでも「安全・安心」の対策は必要性があるのは言うまでも無いと思います。

話は変わって、尼崎脱線事故の数日後に磐越道で起きた高速バス横転事故の判決が12日に福島地裁会津若松支部であり、元運転手の男に禁固4年4ヶ月の実刑という甘すぎる判決が下りました(判決を不服として控訴)。判事や福島地検会津若松支部の検事は危険運転致死傷若しくは不作為の傷害致死を適用すべきだったと思います。往来危険罪など公共交通関係の刑罰の見直しが必要ではないのでしょうか。


Posted by: ゴルゴ十三 | 2005.10.15 at 01:00 AM

はじめまして。共謀罪ですが、別に成立してもおびえる必要もないと思います。現にもう概に、首相自体憲法違反、自衛隊法違反、公約違反、何でもありですし、国会議員も法案の中身さえ十分審議さえせず、次から次へと強行可決している法案を守る必要はないと思います。法治国家の国なんだから。  

  それよりも、外国に今の日本の状況をインターネットで配信して、こんな国おかしいと世界に発信したほうがいいと思います。
 日本人全員が、小泉を支持してるわけではないのでまず、中国や韓国の反日行動支持してないネットに日本人の意思など伝えていけばいいのでは・・・と思います。英語で通じると思いますよ。

Posted by: ヨッチー | 2005.10.17 at 07:05 PM

ゴルゴ十三さん
 いつもコメントありがとうございます。多忙のため遅くなり、申し訳ありません。
 ここ数日、与党が今通常国会での共謀罪法案の成立を断念という記事が出ていますが、まだまだ予断は許さない状況です。
 読売新聞の社説までが、「修正の上で成立させるべきだ」と書いているのは、それだけ共謀罪法案が無茶苦茶だということは認めざるを得ないということだと思います。
 ご指摘の事件についてですが、実刑判決であれば十分に重い判決になっていると思います。むしろ、最近では、危険運転致傷罪が極端に重罰化されている点に疑問を感じています。
 

Posted by: ビートニクス | 2005.10.19 at 11:55 AM

ヨッチーさん
 はじめまして。コメントありがとうございます。共謀罪が新設されれば、実際にはあまり適用されなくても、適用されるかもしれないと予測して行動を自粛するという萎縮的効果があると思いますので、成立しないに超したことはないと思います。
 今の国会は、確かに、単なる決議機関に堕してしまい、官僚が作った法案を議論もほとんどないままに、議員の数だけで可決しているという情けない状況にあります。民主主義は一体どこに行ったのかと情けなくなりますが、これも、国民が先日の総選挙で選んだ結果ですから、当分の間、この状況を甘んずるしかないことになります。
 外国に発信することは大切だと思いますが、日本人が自分たちの手で、この状況を変えられないのかどうかを考えたいと思います。

Posted by: ビートニクス | 2005.10.19 at 11:58 AM

私は共謀罪法案が可決されて欲しいと思います。

世の中にはキチガイ探偵がキチガイじみた仕事、例えば集団ストーカーや復讐工作といった仕事をしています。法案が可決されれば集団ストーカーは根こそぎなくなるでしょう。ついでにキチガイ探偵社も全て潰れて欲しい。吐き気がするくらいキチガイ探偵が嫌い。 

Posted by: 誠次 | 2005.11.03 at 08:58 PM

誠次さん
 コメントありがとうございました。海外出張等があり、お返事が遅くなりました。
 共謀罪ができたからと言って、警察がどういう事件を摘発するかは別だと思います。想定されているような事件ではなく、政治的な反政府運動や労働運動弾圧のためにだけ共謀罪による摘発が行われるかもしれません。
 だから、私は、新しい法律ができても、それを運用するのは、警察や検察であり、恣意的な捜査が行われる可能性は否定できないと思っています。

Posted by: ビートニクス | 2005.11.07 at 07:09 AM

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