与党による共謀罪法案の臨時国会の成立断念は本当か?
衆議院法務委員会では、当初から、与党としては、冒頭に共謀罪法案を審議入りして、短時間の審議の上で強行採決されるシナリオが計画されていた。
しかし、先週後半から、10月24日にそのシナリオが実行されるおそれがあることが暴露され、インターネットの多くのブログでそれに対する危惧が表明され、市民からも圧倒的な反対の声が国会に届いていた。
そして、民主党が大きく方針転換し、共謀罪自体を法案から削除することを求め、これまでの与党との修正協議
の席から完全に降りた。
このような状況の中で、衆議院法務委員会では、信託法改正案の審議から始まることがほぼ決まったようである(正式には本日の理事会で決まる予定)。
そして、今朝の読売新聞は、第1面に「『共謀罪』創設、今国会成立を断念…重要法案を優先」との大きな記事を掲載した。
しかしながら、これを真に受ける訳にはいかない。自民党は、これからも、福島県知事選挙や沖縄県知事選などいくつかの選挙を控えており、ここで居丈高になって、有権者からの反発を買うことを恐れている。そのため、これらの選挙が終わるまでの間、おとなしい姿勢を見せようとしていると考えられるのである。
つまり、共謀罪法案については、またもや「死んだふり」をしようとしていると考えるのが合理的である。
社民党の保坂展人・衆議院議員は、「どこどこ日記」で、教育基本法が、10月30日から3~4日で強行採決される可能性を指摘している(「危うし、教育基本法の『最速化』シナリオ」)。
これ以外にも、今臨時国会には、防衛「省」昇格法案などいくつか優先法案があり、与党は、福島県知事選挙や沖縄県知事選などの動向を見極めながら、これらの優先法案を処理し、後半国会において(信託法改正案を可決した後)、再び、共謀罪法案について、一気に審議入りし、即日、強行採決するという奇襲戦法でやってくると考えなければならない。
いずれにしても、与党による「死んだふり」を真に受けて、反対運動の手を緩めては、相手の思うつぼである。まずは、教育基本法改正案をめぐる与党側の攻勢があり、その後、後半国会に向けて、まだまだ油断できない情勢が継続するだろう。緊張感を保ちつつ、情勢を見守りたい。
【Today's Back Music】
黒住憲五/Days Of Wonder(MTCH-1145)
80年代のAORのボーカリストである黒住憲五が15年ぶりに発表したアルバム。安定した演奏に裏付けられた、どことなく懐かしいサウンドが聴けます。
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Comments
私も共謀罪には反対ですが、国際的組織犯罪防止条約との関係で、先生のご主張は、決着点をどのようにすべきだというものでしょうか。
(1)共謀罪ではなく、参加罪で条約の条件を満たす
(2)条約第5条を留保する
(3)条約第34条を留保する(「国際的」を共謀罪の構成要件にする)
(4)条約第40条に基づき、条約から脱退する
もし(1)の場合、条約5条1(b)の相談(counselling)は現行刑法の幇助に含まれるとお考えでしょうか。
Posted by: いつも読んでいます | 2006.10.26 at 10:58 AM
遅くなりましたが、ご質問にお答えします。
私は、(2)か(4)を選択すべきだと考えています。(3)については既に留保しないで国際性(越境性)を要件にした共謀罪を新設したセントクリストファーネービィスのような前例があります。
Posted by: ビートニクス | 2006.10.29 at 12:48 AM
そうですね。一回条約から脱退して、白紙の状態から議論し直すのが、すっきりして良いのかもしれません。
Posted by: いつも読んでいます | 2006.10.30 at 12:49 PM