« 教育基本法改正案の参議院での可決・成立が迫っている | Main | 刑事裁判に犯罪被害者や遺族が直接参加する制度を認めることができるか? »

2006.12.24

臨時国会を終えて来年の通常国会に向けて

 2006年12月19日、9月から始まった臨時国会がようやく閉会した。この臨時国会の最大の焦点であった教育基本法改正案は、同年12月14日に参議院教育基本法特別委員会において与党議員による強行採決が行われ、同年12月15日、参議院本会議でも与党多数で可決されて成立した。

 同法案は、同年12月22日に公布され、同日施行された。1947年に施行された教育基本法が約60年ぶりに改正されたことになる。来年の通常国会にも、教育関連法案の提出が予定され、改正された教育基本法に基づく新たな政府による教育支配が具体化される予定である。

 今年の臨時国会は、小泉首相から引き継いだ安倍首相の下での最初の国会であった。安倍政権は、戦後民主主義への挑戦として、教育基本法改正案を臨時国会で成立させて、憲法改正への流れを一気に作ろうとしていた。
 審議の途中では、全国各地で「いじめ」自殺が多発したり、全国の多数の高校において単位偽装問題が発覚した。
 また、教育改革に関するタウン・ミーティングが「やらせ」であったことが次々と明らかになるなど、教育基本法改正より前になすべきことが山積していており、世論も教育基本法案の改正を急ぐ必要はない者が多数であったにもかかわらず、安倍政権は、ともかく教育基本法改正案の可決に血道を上げた。

 政府の教育基本法改正案は、「愛国心」教育を正当化するだけでなく、既にこのブログで述べたように、法律の根拠に基づきさえすれば、国家や教育行政が、現場の教育に対して介入することを正当化し、それが「不当な支配」に当たらないとされた点に最大の問題がある。

 これにより、今後、国家や都道府県が、法律や条例を制定することによって、教育に介入することが常態化することだろう。特に、当面は、全国各地で学校現場で、「日の丸・君が代」の掲揚・斉唱を法律等で義務づけられるようになるだろう。

 この意味で、今回の教育基本法改正は、戦後の民主主義体制それ自体を転覆しようとする「クーデター」を企図するに等しい内容をもっていた。

 国会周辺での反対運動は非常に盛り上がったが、マスコミは改正案の問題点を正確に伝えようとせず、国会審議についても、最後まで、国会の外で反対運動をしている人たちと連動することなく、最後は、与党の圧倒的な数の前に、あっけなく可決・成立させてしまった。

 おそらく、ほとんどの国民は、一体、どのような内容の法律が成立したかを知らないまま教育基本法改正案が成立してしまったが、子供を持つ親たちは徐々に、改正のもつ意味を噛みしめるようになることだろう。

 臨時国会で成立した法案のうち、防衛庁の省昇格関連法案も成立した。11月30日に衆院本会議で与党多数で可決され後、12月15日の参議院本会議において与党多数で可決されて成立した。

 同法案は、前にこのブログで述べたように、単なる防衛庁から防衛省への「看板」の掛けかけを内容とするだけでなく、関連法案の中にある自衛隊法改正案によって、自衛隊の「海外派兵」が「本来任務」となる点が最大の問題である。
 これによって、自衛隊は、名実共に「軍隊」となることが確実となった。これは、憲法9条2項が軍隊を持つことを禁止しているにもかかわらず、自衛隊法の改正によって憲法改正を先取りしたのである。

 来年の通常国会には、いつでも自衛隊を恒久的に海外派兵できる根拠となる法案が提出される予定となっており、これと併せて、アメリカが戦争を仕掛けたどの国に対しても、日本の自衛隊を海外派兵することを可能とするものである。近いところでは、イランに対してアメリカが攻撃を仕掛けた場合に、その問題に直面する可能性がある。
 小泉政権から始まっていた日本を「いつでも戦争ができる国」にするための動きが、着実に前進することを許してしまったことになる。

 さすがに、憲法改正のための国民投票法案は、臨時国会では成立しなかったが、かなり審議が進んでおり、安倍内閣は、来年の通常国会での可決・成立を目指している。

 ちなみに、臨時国会に提出された政府の新規提出法案12件は全て成立している。

 このように、今年の臨時国会では、次々と戦後民主主義を否定するような悪法が可決・成立し、憲法改正に向けて着々と包囲網を形成している。

 臨時国会で唯一朗報と言えたのは、共謀罪法案が、衆議院法務委員会において、審議入りすることすらできないまま継続審議となったことであった。

 臨時国会において、衆議院法務委員会では、信託法改正案と少年法改正案と共謀罪法案の3つの法案しか審議が予定されていなかったにもかかわらず、与党は信託法改正案を可決した後、共謀罪法案の審議入りを執拗に求め、少年法改正案の審議に入ることなく、会期末を迎えた。

 これは、国会の外での圧倒的な市民による反対と国会内における野党の奮闘の賜物であると思うが、極めて異例の展開であった。

 来年の通常国会は2007年1月25日に召集される予定となっている。来年7月には参議院選挙も予定されている。
 来年の通常国会の前半戦としては、与党は本気で共謀罪法案の成立を目指して、衆議院法務委員会での強行採決を早めにやってくるだろう。その意味で、激しい闘いになりそうである。しかも、その後には参議院選挙も控えている。

 安倍政権は、支持率をどんどん下げながらも、国民の声を無視して、来年の通常国会で、「自衛隊」の恒久派兵法案や、憲法改正のための国民投票法案などの成立に血道を上げるだろう。

 来年1年も気を抜かずに、安倍内閣が進めようとしている戦後民主主義の否定とそのための憲法改正の野望を打ち砕くために、皆さんと力を合わせて頑張っていきたい。

【Today's Back Music】
 寺尾 聰/Re-Cool Reflections(IOCA-20195)
  寺尾聰が1983年に発表した名盤「Reflections」と全く同じ曲を同じ曲順でセルフカバーした新譜。コンセプトと心意気を買いたい。「ルビーの指輪」が懐かしい。

|
|

« 教育基本法改正案の参議院での可決・成立が迫っている | Main | 刑事裁判に犯罪被害者や遺族が直接参加する制度を認めることができるか? »

教育基本法改正問題」カテゴリの記事

Comments

You could definitely see your skipls in the article youu write. The sector hopes for more passionate writers such as you who are not afraid to say hhow they believe. Alll the time follow your heart.

Posted by: Bell | 2013.10.16 at 03:01 PM

When someone writes an piece of writing he/she mainntains the idea of a user in his/her minhd that how a user can be aware of it. So that's why this post is perfect. Thanks!

Posted by: wireless speakers | 2013.10.23 at 11:21 AM

Thanks for any other fantasttic article. The place else mmay anyone get that kind of information in such a perfect way of writing? I have a presentation subsequent week, and I'm on the look for such info.

Posted by: http://www.designerhandbagsplaza.com/ | 2013.11.13 at 12:52 PM

This article will help the internet people for setting up new website or even a weblog from sart to end.

Posted by: www.swingsetsgiant.com | 2013.11.28 at 01:21 AM

What a material of un-ambiguity and preserveness oof valuable experience concerning unpredicted feelings.

Posted by: bathroom cabinets | 2013.12.23 at 01:30 AM

Does your blog have a contact page? I'm having trouble locating it but, I'd like to send you an e-mail. I've got some creative ideas for your blog you might be interested in hearing. Either way, great blog and I look forward to seeing it improve over time.

Posted by: ceiling fans with lights | 2014.01.01 at 01:02 PM

Hi my loved one! I want to say that this article is amazing, great written and include almost all significant infos. I'd like to see extra posts like this .

Posted by: http://ahcdh.com/dreamhost-coupons.html | 2014.11.29 at 06:45 AM

What i do not realize is in reality how you are no longer actually much more smartly-appreciated than you might be now. You are so intelligent. You understand thus significantly relating to this subject, made me in my opinion believe it from so many numerous angles. Its like women and men don't seem to be fascinated except it is something to accomplish with Lady gaga! Your personal stuffs outstanding. All the time deal with it up!

Posted by: ladies church suits | 2015.09.25 at 10:47 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/32945/13179406

Listed below are links to weblogs that reference 臨時国会を終えて来年の通常国会に向けて:

» 愛国心:その3 [不動産鑑定士半兵衛の権力との闘い]
はじめてのかたは、トップページもお読み下さい愛国心に関する私の記事に関して、ひろ [Read More]

Tracked on 2006.12.24 at 10:03 AM

» 公明党には思想・理念はない!! [競艇場から見た風景]
このブログで 学会員に「ヒューマン・チェーン」参加のお勧め(12月9日)をエントリーしました。 この中で、創価学会名誉会長 池田氏の「教育基本法見直し不要論」なる記事を紹介しましたが、これは公明党に「教育基本法改正」成立に待ったを掛けて欲しいと期待したワケ..... [Read More]

Tracked on 2006.12.26 at 12:33 AM

» 目先の欲得を優先する公明党!! [競艇場から見た風景]
■ 「公明党には思想・理念はない!!」続編 浜四津は「やっぱりひまわり」(鳳書院)を出版した翌年(1998年11月17日)国会裏の星陵会館で開かれた「盗聴法」反対集会で、次のように力説した。近年ますます深刻化する組織的犯罪を放置してはなりませんし、またこれに対する適切..... [Read More]

Tracked on 2006.12.27 at 11:46 AM

» 寺尾聰 - Re-Cool Reflections [こんな音楽発見!]
25年を経て、大ヒットアルバム「Reflection」が新たに表現される。 [Read More]

Tracked on 2007.01.09 at 12:32 AM

» 危うい我らの「憲法」=2 [競艇場から見た風景]
17日、自民党は第74回定期党大会を開き、安倍首相は、演説で「立党の精神に立ち返って憲法改正に取り組む」と述べたそうで。同大会で採択された党運動方針は、小泉前首相の改革路線の継承を打ち出し、憲法改正を前面に掲げた。その前提となる「国民投票法案」の通常国会..... [Read More]

Tracked on 2007.01.20 at 08:33 AM

» 安倍内閣3人の戦犯 [現役雑誌記者による、ブログ日記!]
  安倍内閣はなぜもこう、躓くのか?  ボスにいわせるとしごく簡単で、「『6年の長期政権をめざす』なんてこといっていたから、躓いた。自爆覚悟、短期政権覚悟、憲法改正なら憲法改正。憲法の9条削除なら削除の一点勝負でいって、それに反対なら、公明党でも自民党の親...... [Read More]

Tracked on 2007.01.20 at 01:42 PM

» 安倍首相、共謀罪法案の今国会成立を指示! [日本国憲法擁護連合〜法大OBのブログ]
安倍首相が今国会で共謀罪新設法案成立を示唆したと各マスコミは報道しました。共謀罪新設は、これまで十回にわたってストップしてきましたが、予断を許さない情勢になっています。 共謀罪は、国際条約批准のために必要であるという見解を与党は出していますが、国際条約批准のために共謀罪を新設したのは、ノルウェーのみであること、批准しているアメリカの二州では共謀罪がないこと、また国際条約には批准のために国内法を制定しなくてはならないという趣旨はないこと、などから野党側からは共謀罪新設そのものの根拠に無理があることを... [Read More]

Tracked on 2007.01.21 at 04:45 AM

« 教育基本法改正案の参議院での可決・成立が迫っている | Main | 刑事裁判に犯罪被害者や遺族が直接参加する制度を認めることができるか? »