衆議院法務委員会が強行採決続きの異常事態となっている
4月18日に、衆議院法務委員会で、少年法改正案が、与党による強行採決で可決され、翌4月20日に衆議院本会議で可決されて参議院に送られた。
また、4月27日、衆議院法務委員会で、更生保護法案が、与党による強行採決で可決された。衆議院法務委員会では、続けて2つの法案について、与党による強行採決がなされたことになる。
いずれの法案についても、あと何回か審議を尽くせば、与党が強行採決することもなく、採決時期について与野党合意の下で行われた可能性のある法案であった。ところが、与党は、野党の意向を無視して、職権で採決を行っている(更生保護法案については、参考人質疑も職権で決めたようである)。
少年法改正案については、14歳未満の触法少年についても、警察が捜査権限を持つという形で権限の拡大が図られることになった点が最大の問題である(政府案にあったぐ犯少年に対する捜査権限は与党の修正案では否定された)。
特に、警察官による取調べ(法律の建前は任意捜査)によって、自分がやってもいない事件を認めさせられて、冤罪が起きるのではないかという疑問がある。改正案は、取調べの可視化(録画・録音)や、付添人の立会いを認めることなく、警察官の取調べができることを認めようとしている。
更生保護法案は、現行の犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を整理・統合して新しい法律を作るものであり、仮出所者らが保護観察中に守るべき順守事項に違反した場合に仮出所などの取消ができることなどが新設されるなど厳格化するとともに、仮釈放を判断する際に犯罪被害者側の意見を聴取する制度も新設されるなど犯罪被害者対策も盛り込まれている。この法案は、犯罪を犯した者の更生を図るものであるが、今回の法案には、それとは反する「再犯防止」という観点が盛り込まれた点が最大の問題であるが、ほとんど議論されることなく、衆議院法務委員会で可決されてしまった。
今通常国会は、参議院選挙を控えているために延長ができないと言われており、その割に、法務委員会で扱う重要法案が多く、審議日程がタイトであることは当初から予想されていた。
それにしても、審議をおざなりにして、野党がまだ審議が必要であると言っているのに、与党だけで採決日程を決めて強行採決するという手法は、民主主義のルールがもっとも尊重されるべき議会において無視されていることは大きな問題である。
民主党の平岡議員は、「これでは、議会はいらない。あっても議会制民主主義がなかった時代に等しい」、「少年法改正の強行採決の収拾が図られないなかでの強行採決であり、まだ、十分に審議時間があるなかでなぜそんなに急ぐのか、全く分からない。もしかすると共謀罪の創設を盛り込んだ法案の審議を急いで行うためではないかとの、疑念を抱かざるを得ない」と述べて、強行採決を批判している(民主党のニュースより)。
安倍政権になってから、強行採決という手法が多くとられるようになっている。昨年の臨時国会での教育基本法案も強行採決によって可決・成立させられたし、今通常国会でも、憲法改正国民投票法案が、既に衆議院で急行採決されて参議院に送られている。
国民に対して大きな影響を与える重要法案について、強行採決がなされるという事態は決して穏やかではない。議会制民主主義の危機とも言うべき状況である。
ところが、マスコミが、この強行採決についてあまり批判しないためなのか、与党はますます増長しているように思われる。
特に、テレビは、強行採決の様子を何度でも繰り返し放送すべきである。それが、いかに異様で、民主主義とは相容れない光景かを、国民に対して知らせるべきである。
今通常国会が始まる頃は、この通常国会では、共謀罪法案の審議・採決はないだろうと誰もが予測していた。
しかし、明らかに、その風は変わりつつある。
強行採決に味を占めた与党は、いつ共謀罪法案の審議入りを言い出さないとも限らない。特に、連休明け直後の衆議院法務委員会は要注意である。今の与党の態度からすると、共謀罪法案審議のために法務委員会を招集して、与党の修正案を提出して、その日のうちに強行採決することも多いにありうるような状況となっている。
これでは、国会はますます形骸化し、法案にお墨付きを与えるだけの茶番劇を繰り返す場となってしまう。それでは、国民の代表が集う国権の最高機関とは到底言えない。それは、民主主義の否定につながるだけである。
もう一度、国会のあり方に目を向ける必要がある。そして、議会制民主主義を否定して、強行採決を繰り返す与党の動きに対して、私たちは、「主権者」として、異議を唱える必要がある。今のままでは、どんな悪法も、ほとんど審議されることなく可決・成立させられてしまうが、そのような事態は絶対に受け入れることはできない。
【Today's Back Music】
松下奈緒/dolce(ESCL-2878)
女優でもあるピアニストのアルバム。昨年秋に出て買っていたのですが、最近になって毎日のように聴くようになりました。何度きいても飽きないし、気持ちがよ良くなります。次の作品が楽しみです。
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