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2008.12.29

今年見た映画ベスト10

 今年は例年になく映画を観た年だった。話題の映画も多かった。観たかったが見逃した話題の映画も多かったが、全く私的に選んだ今年の映画ベスト10を紹介したい。

★ベスト1
 『おくりびと』(滝田洋二郎監督、主演・本木雅弘、広末涼子)
  東京で楽団をクビになった主人公が、地元に戻って職探しをする中で、納棺師の仕事を始める、様々な偏見の中、妻も別居して実家に戻ってしまう中、納棺師の仕事を続ける主人公。やがて、妻もその仕事を理解するようになっていき、妻の勧めで、生き別れていた父親の納棺の仕事をするというストーリー。
 「納棺師」という仕事を知らされるとともに、私たちにとって、「死」とは何かを考えさせてくれる。映画のラストの方で、「死とは終わりではなく、旅立ちである」との台詞が語られ、その旅立ちを手伝う「納棺師」の仕事の重要さを気付かせてくれる。庄内平野の美しい風景とともに、主人公をめぐる心の動きとその成長ぶりが伝わってくる。
 この映画は、第32回日本アカデミー賞で最多13部門の優秀賞を受賞したり、第32階モントリオール世界映画祭グランプリを受賞するなど、既に多くの賞をとっている。

★ベスト2
 『ぐるりのこと。』(樋口亮輔監督、主演:リリーフランキー、木村多江)
  法廷画家の夫と、編集者の妻との間の夫婦を描いた作品。妻はやがて精神的に病んでしまうが、夫はそれを支えながら、徐々に妻が再生していく過程を描いている。法廷画家という特殊な職業に惹かれて見た映画で、初めて法廷画家の仕事の大変さがよく分かった(この映画には、実際の事件を素材にしたと思われる被告人が次から次へと登場する)。
 リリー・フランキーが、ちょっといい加減な夫役を演じており、いい味を出している。

★ベスト3
 『アイアンマン』(ジョン・ファヴロー監督、主演:ロバート・ダウニー・Jr)
 天才的な兵器発明家で世界的軍事企業のCEOの主人公が、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、視察先のアフガニスタンで襲撃され、武装ゲリラに拉致されるが、そこで、戦闘用スーツを自ら製作して脱出に成功し、帰国後は、死の商人になっていたことに気づいて改心し、スーツを改良して正義のため戦おうとするという作品。戦闘用スーツを、コンピュータと会話しながら一人で作り上げていく様子が克明に描かれて、オタク心をくすぐられる。パート2も作られるようであるが、なかなか見応えがある作品に仕上がっている。

★ベスト4
 『告発のとき』(ポール・ハギス監督、主演:キャスト:トミー・リー・ジョーンズ)
 実話を基にした作品。軍警察を定年退職した主人公のもとに、イラク帰還兵の息子が行方不明になったとの知らせが入り、主人公は単身で聞き込みを開始するが、やがて、息子の他殺体が発見される。主人公は、地元警察でシングルマザーとして孤立ぎみの女性刑事の協力を得ながら、独自の犯人探しを始める中で、イラク戦争の現場に送られた兵士たちが異常になっていく状況があぶり出されていく。
 アメリカ人の手によって、イラク戦争にアメリカ軍を派遣して駐留していることの問題点を告発する内容となっている。
 なお、未見であるが、『リダクテッド 真実の価値』(監督ブライアン・デ・パルマ)も同じようなテーマを扱った作品であり、是非見てみたい。

★ベスト5
 『容疑者Xの献身』(西谷弘監督、主演:福山雅治、堤真一ほか)
 直木賞を受賞した東野圭吾の同名小説を映画化した作品。テレビシリーズ化された「ガリレオ」シリーズではあるが、この作品は、それとは独立した作りとなっている。
 母子で幸福に暮らしていたところ、ある日、別れた夫に仕事先とアパートを突き止められ、突然訪問した元夫を母子で殺してしまう。途方にくれる母子に、アパートの隣に住んでいる数学教師が尋ねてきて、母子を助けようとして、完璧なアリバイを作り上げ、警察が捜査に行き詰まってしまうが、ガリレオと呼ばれる湯川がその謎を暴いていくという作品。
 この映画では、ガリレオを演じる福山雅治よりも、数学教師役の堤真一がはまり役となっており、うだつのあがらない高校教師役を見事に演じている。

★ベスト6
 『ゲット スマート』(ピーター・シーガル監督、主演:スティーヴ・カレル、アン・ハサウェイ)
 007のパロディとして60年代に作られたテレビシリーズ『それ行けスマート』の映画化作品。ほとんど話題にならなかったが、最初から最後まで、爆笑しながらも、ど派手なアクション・シーンの連続で、最高のエンターテイメント作品に仕上がっている。続編を期待したい。

★ベスト7
 『ジャンパー』(ダグ・リーマン監督、主演:ヘイデン・クリステンセン、サミュエル・L・ジャクソン)
 スティーヴン・グールドが発表したSF小説『ジャンパー』の映画化作品。
 主人公は、瞬間移動の能力を持っていることを偶然知り、それを使って銀行強盗をしたり、色んな所を瞬間移動していた。他方、このようなジャンパーたちを殺していく軍団があり、やがて、主人公はその軍団に追われて命を狙われるようになるというストーリー。
 世界の観光地などを次から次へと瞬間移動するシーンが見所で、監督の趣味からか、東京のシーンも登場する。
 この映画は、いわゆるCG(コンピュータ・グラフィック)を使っていない作品とのことで、確かに、非常にリアル感がある。続編を期待したい。

★ベスト8
 『ICHI』(曽利文彦監督、主演:綾瀬はるか、大沢たかお)
 座頭市の主人公のキャラクターを女性(綾瀬)と男性(大沢)に分けて描いている。今作品は、主人公の市を、無敵のヒーローのように描かず、生身の人間として、そして、正邪の区別もつかない人物として描いている。主人公役の綾瀬がいい味を出している。ストーリーもよくできており、ラストシーンは続編を予感させる終わり方となっている。殺陣は非常にスタイリッシュに描かれており、時代劇だと感じさせない今風な映画だと感じた。

★ベスト9
 『ハッピーフライト』(矢口史靖監督、主演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、岸部一徳ら)
 全日空が全面協力して作られた、1機の飛行機が羽田空港を飛び立つまでと、飛び立ってからの機内のフライト・アテンダントの仕事ぶり、そして、トラブルが発生して羽田空港に緊急着陸するまでの舞台裏を描いた群像劇。田畑智子が演じる地上係員の仕事ぶりに感心させられる。
 飛行機に乗る者としては、是非とも見ておく価値があるが、教養臭くなく、最後まで一気に見せる作品である。

★ベスト10
 『アフタースクール』(内田けんじ監督、主演:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子、田畑智子)
 全国150館にて公開、観客動員数350万人突破の大ヒットとなった作品。
 中学教師の神野が、元同級生の私立探偵に協力し、失踪した親友の木村を探すことから始まるストーリー。裏社会を垣間見せながら、誰が正義で誰が悪者か分からず、どんでん返しの連続で、映画の最後で、あっと驚くオチが用意されている。エンターテイメント作品として大変に優れており、パワーを感じる映画だった。出演者の演技も素晴らしい。ここでも田畑智子がいい味を出している。

★番外1
 『WALL・E/ウォーリー』(アンドリュー・スタントン監督)
 ディズニーとピクサーによるアニメーション作品。
 描かれるのは700年後の地球。そこには廃墟をさ迷うのは愛らしいロボット"WALL・E"1台だけが活動していた。ウォーリーは、誰かと手を繋ぐことを夢見ながら生活していた。ある時、大きな宇宙船が地上に降り立ち、そこから、白い女性と思えるロボットが、ある任務を帯びて降りてくる。ウォーリーはこのロボットに関心をもって行動を共にすると、ある時、突然その白いロボットが動かなくなり、再び大きな宇宙船がそのロボットを回収して宇宙に飛び立とうとしたため、ウォーリーはその宇宙船に飛びついて宇宙に出ていき・・・というストーリーである。
 この映画には、人間社会を風刺したシーンも登場するが、ほとんど会話も交わさない2台のロボットだけで、愛憎を表現しているところに凄さを感じた。

★番外2
 『K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』(佐藤嗣麻子監督、主演:金城武、松たか子、仲村トオル、國村隼ほか)
 お正月映画ということもあるので番外編にした。
 「ALWAYS 三丁目の夕日」のスタッフが再集結して作った映画。第二次世界大戦が回避され、空襲を受けなかった「帝都」が舞台。そこは、華族制度という身分制度が現存し、貧富の差が激しく、多くの庶民は貧しい生活をしていた。そこに、金持ちから高価な財産を奪って庶民にばらまく「怪人二十面相」が現れる。
 ある時、サーカス団にいた主人公が、この「怪人二十面相」に間違われて投獄されるが、逃走した後、怪人二十面相を捕まえて自らの無実を証明しようとする。そのような中、明智小五郎の婚約者が怪人二十面相に襲われたところを、主人公が助けたことからストーリーが展開する。
 「帝都」の光景が見応えがある。階級制の話は、現在の「新自由主義」の下での日本の貧富の差の拡大に対する批判を込めているのかもしれない。
 全く架空の都市でのストーリーにしては最後まで自然に見られた。これも、日本映画のパワーを感じさせる作品に仕上がっていた。

★番外3
 『私は貝になりたい』(福澤克雄監督、主演:中居正広、仲間由紀恵)
 赤紙で収集された理髪店の主人が、上官の命令で捕虜を刺し殺すことを命じられたが、実際には自分では刺し殺せなかったにも関わらず、戦争終了後の東京裁判では死刑を宣告され、巣鴨プリズンに収容された後、嘆願書を書くなどしたが、結局、死刑を執行されることになるというストーリー。
 1958年(昭和33年)10月31日に、フランキー堺が主演で、テレビドラマとして放送され、、1959年には、映画版が公開されている。
 巣鴨プリズンや巣鴨駅付近の再現は非常によくできていると感じた。また、当時の米軍による巣鴨プリズンの処遇の様子や死刑執行の様子は興味深くみられた。主演の中居と仲間の演技には批判も多いが、それ程違和感なく見られた。
 この映画は、B・C級戦犯に対する死刑という不条理を描いた作品であるが、アメリカや天皇制批判の視点は弱いかもしれない。
 この作品の中で、上官として部下の無罪を主張した岡田中将の話は、今年、藤田まこと主演で『明日への遺言』(小泉堯史監督)として映画化されており、是非、見てみたいと思う。

【Today's Back Music】
 竹内まりや/EXPRESSIONS(WPCL-10615~7)
  ボーカリスト竹内まりやのデビュー30周年を記念して企画された、RCA、MOON、WARNERレーベル合同のコンプリート・ベスト・アルバム。私も、デビュー当時からずっと聴いてきましたが、今なお色あせない楽曲群は何度聴いても良いものです。

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Comments

けっこう日本映画、ご覧になってるんですね。年末年始は、銀幕ざんまいの予定です。

よい、お年を!

Posted by: 千恵子@詠む | 2008.12.29 at 08:12 PM

Hi forum, cool weather and good mood. life is a good thing however turn

Posted by: Milioriking | 2010.09.28 at 02:08 AM

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Posted by: bobhadze | 2010.09.29 at 11:01 PM

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Posted by: bobkomas | 2010.10.13 at 08:07 AM

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