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2010.12.01

「検察の在り方検討会議」で何が問われているのか

 柳田前法相の私的諮問会議として、「検察の在り方検討会議」が設置され、第1回の会議が2010年11月10日、第2回会議が11月25日に開かれ、年内にもう一度開催される予定となっている。

 第1回会議の席上、柳田前法相は、「大阪地検の元検事が証拠隠滅罪で逮捕・起訴された上,大阪地検特捜部の当時の部長・副部長までもが犯人隠避罪 で逮捕・起訴される」という「今回の大阪地検特捜部における一連の事態」を受けて、「検察の再生及び国民の信頼回復のため,どのような方策があり得るか, 幅広い観点から抜本的な検討を加えていただき,有効な改善策,改革策」について提言してもらいたいと挨拶している。

 上記の一連の事件については、現在、最高検察庁でチームを作って検証作業を行っており、2010年中には、その検証結果が「検察の在り方検討会議」に提出され、それを素材として、2011年1月から本格的な議論が始まる予定である。

 なお、柳田前法相は、失言問題により辞任したが、この会議は、今後も同じ方針の下、継続して行われることが、第2回会議の冒頭に、小川法務副大臣の挨拶において明らかにされている。

 第2回会議においては、各委員から、今後の会議で検討すべき課題について意見が述べられたが、その意見は多岐に亘るものであり、その全てを議論することは難しいと思われたが、比較的多く語られたのは、取調べの全面可視化証拠の全面開示、決裁のあり方の再検討などであった。

 大阪地検の村木事件においては、特捜部が、予めストーリーを作り、そのストーリーに沿って関係者の供述調書を大量に作成し、それで有罪立証してきたという特捜捜査が行き詰まっために、証拠であるフロッピーディスクの文書情報等の改ざんを行い(証拠隠滅事件)、その後それが発覚した後、組織防衛のために、それが過誤によってなされたとしてもみ消した(犯人隠避事件)というものであり、特捜部の組織としてのあり方が根本的に問われているのである。

 私自身は、まず、特捜部は全て廃止すべきであると考えているが、もちろん、事は特捜部だけの問題ではなく、検察庁全体の問題でもある。それは、過去から現在まで、特捜部ではない事件でも冤罪は続いているし、むしろ、死刑事件(死刑冤罪4事件)や無期懲役事件(足利事件)においてこそ深刻であって、これが検察庁全体の問題であることは明らかである。

 これは検察による捜査が全て密室で行われ、起訴後においてもその捜査の適正を適切に検証することができないことに起因すると考えられる。そのため には、警察が行った事件も含めて、検察の手の内を全てオープンにして、事後的にその捜査が白日の下に晒されて検証できるようにすることが不可欠である。

 それには、警察の取調べも含めて、参考人段階からの任意の取調べも含めて、全ての取調室における取調べの全過程が録画・録音されて可視化されることが不可欠であるとともに(その取調べには弁護人が立ち会えることも不可欠である)、警察・検察が収集した証拠は、起訴後直ちに、その全てが弁護人に開示されることが不可欠である。

 これらは、これまで検察が強く拒んできたものであるが、今これ位思い切った改革を実行しなければ、検察の威信や信用を回復することなどできるはず がない。しかも、これらは世界的に見れば当然のことであって、これまでこれを拒み続けてきたからこそ、今回のような一連の不祥事が起きたと考えられるので ある。

 なお、今回は検察だけが悪いように語られる傾向にあるが、実際には、裁判所の問題でもある。
 これまでも、裁判所は、検察官が密室で作成 した供述調書を、刑訴法321条1項2号書面として採用して有罪認定してきた。この特信性の認定を厳しくして、検察からの2号書面の請求を却下するように すれば、検察の捜査のあり方は劇的に変わらざるを得なかったはずなのである。

 今回の村木事件の担当裁判所は、この特信性を厳しく審査して、検察官からの2号書面の請求のほとんどを却下したが、他の裁判所が今後これに追随す るとは考えられない。その意味では、裁判所の責任も重大であるというべきであり、裁判所も変わらなければならないのである。その点を抜きに検察改革だけを 論じることは虚しいことである。

 いずれにしても、「検察の在り方検討会議」は、2011年3月までに一応の結論を出す予定であるが、この会議において、検察のひどい現状を踏まえて、どれだけ根本的な改革を提言できるのか、私たちは注目する必要がある。

【Today's Back Music】
 Manabu Ohishi (大石 学) Trio / WISH(SAWANO AS100)
 私は日本で一番好きなピアニストである大石さんの澤野工房からのアルバム。一発録りしたようだがライブを聴いているような気分になる。選曲もよく、最近繰り返しているアルバムである。

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Comments

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