刑事裁判

2011.12.26

検察審査会を利用した疑いが明らかとなった小沢裁判から改めて検察改革の必要を考える

 小沢一郎氏の政治資金規正法違反被告事件が東京地方裁判所で審理されている。この事件は、東京地検特捜部が捜査をしたが、嫌疑不十分で不起訴にするしかなかったが、その後、告発人が検察審査会に審査を申し立てたところ、東京第五検察審査会が,2回にわたって起訴相当と判断し、強制起訴がなされることとなり、東京地裁が選任した指定弁護士によって起訴されたという特殊性を有している。

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2011.09.29

陸山会事件判決に見る裁判所改革の必要性について考える

 東京地裁刑事第17部(登石郁郎裁判長)は、小沢一郎氏の資金管理団体である「陸山会」の土地購入を巡り、元秘書3人が政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた事件(大久保被告については西松建設事件を含んでいる)の判決で、3人の被告人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

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2010.06.01

刑事裁判における情況証拠による事実認定に警鐘を鳴らした最高裁判決

 最高裁判所において、刑事事件について注目すべき判決が言い渡された。

 2002年に大阪市で起きた殺人放火事件について、間接事実を総合して被告人を有罪と認定した第1審の大阪地裁は無期懲役を言い渡し、第2審の大阪高等裁判所は死刑判決を言い渡していた事件について、最高裁判所第三小法廷は、2010年4月27日、第1審の無期懲役及び第2審の死刑判決をいずれも破棄して大阪地裁に差し戻した。

 この事件においては、被告人が一貫して犯行を否認し、事件と被告人を直接結びつける証拠がない中で、有罪の決め手となったのは検察側が積み上げた情況証拠だけだった。

 最高裁第三小法廷は、「情況証拠によって認められる間接事実中に、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは、少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれていることを要するものというべきである」と述べた上で、本件について、「この点を満たすものとは認められず,第一審及び原審において十分な審理が尽くされたとはいい難い」と述べて審理不尽を理由に職権で、第1審の無期懲役及び第2審の死刑判決をいずれも破棄し、大阪地裁に差し戻した。今後、無罪判決がなされる可能性もあり、今後の審理が注目される。

 死刑判決を受けていた刑事事件の上告審において、このような判断がなされるのは極めて異例であるとともに、この最高裁判決は、今後の刑事事件の事実認定のあり方に対しても、新しい指針を示すものであり、情況証拠による事実認定に対して、大きな制約を設けて慎重に行うべきことを示したという点で、これまでの裁判における情況証拠による事実認定に対して警鐘を鳴らしたものと言える。

 西日本新聞の社説(5月7日付)は「今回の判決が、被害者感情と『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の大原則の間で裁判員が冷静に判断するうえで、一つの指針となることは間違いない。同時に、人が人を裁くことの難しさ、重さをあらためて示したといえる。」と述べているが、全く同感である。

 これまで、刑事裁判においては、被告人が徹底的に無罪を争っても、情況証拠を積み重ねることで有罪判決が出されたきた。情況証拠による事実認定というのは、直接証拠がなくても、間接証拠を積み重ねることを推認(推測)を重ねて、経験法則を利用して、有罪を認定する方法のことである。

 死刑事件についてもこの手法が用いられており、最近では、和歌山カレー事件も同様の手法で有罪判決が出されて最高裁もそれを追認してきた(2009年4月21日付最高裁第三小法廷判決)

 今回の最高裁第三小法廷判決は、これまでの刑事裁判における情況証拠の積み上げによる有罪認定について、根本的な問題提起をしたと考えられる。

 最近、足利事件で再審無罪判決が出され、布川事件についても再審開始決定がなされて、これから再審公判が開始しようとしている。

 これ以上、冤罪事件を生まないためには、刑事裁判における「無罪推定の原則」をより徹底するとともに、情況証拠による事実認定のあり方を制約・限定し、単なる推測を重ねるだけで簡単に有罪を認定するような現在の刑事裁判のあり方を根本的に見直す必要がある。

 そのためには、捜査段階における取調べの全過程の可視化弁護人の取調べへの立会い人質司法の解消と併せて、公判段階における事実認定のルールを確立し、検察官の立証を鵜呑みにする現在の裁判所の事実認定のあり方を根本的に見直しして、冤罪が起こりえない刑事司法を一日も早く実現する必要がある。

【Today's Back Music】
櫻井哲夫/MY DEAR MUSICLIFE(KICJ-566)
 元CASIOPEAの櫻井氏(bass)の
デビュー30周年記念ソロアルバム。「Domino Line」のセルフカバーが最高にかっこいい演奏です。

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2010.01.30

検察審査会制度の改革と今後の課題

 2001年7月21日に発生した明石歩道橋事故について、当時の明石警察署の副署長が起訴されることになった。

 

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2009.11.01

刑事事件における最高裁判所の役割について考える

 2009年10月19日、最高裁判所第二小法廷(中川了滋裁判長)は、大阪市内のホテルで警護役の組員二人に拳銃を所持させていたとして、銃刀法違反(共同所持)の罪に問われた山口組の元若頭補佐の被告人について、被告人を無罪としていた第一審、第二審の判決を破棄し、審理を大阪地裁に差し戻す判決を言い渡した共同通信の記事

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2009.08.29

裁判員裁判第1号事件と第2号事件から見えた裁判員制度の問題点

 2009年8月3日から、東京地方裁判所(秋葉康弘裁判長)において、殺人被告事件について全国で第1号の裁判員裁判が実施され、同年6日、懲役15年(求刑懲役16年)の刑を言い渡した。
 また、同年8月11日から、さいたま地方裁判所裁(田村真裁判長)において、殺人未遂被告事件について全国で第2号の裁判員裁判が実施され、同年12日、懲役4年6月(求刑懲役六年)の刑を言い渡した。 
 2009年9月には既に15件の裁判員裁判が予定されているが、全国第1号と第2号の裁判員裁判の実施を通して、その問題点が浮き彫りになってきた。

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2009.07.13

いよいよ始まる裁判員裁判について、今考えるために

 2009年5月21日、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下「裁判員法」という)が施行され、この日以降に起訴された刑事事件で、裁判員裁判対象事件は、自白事件か否認事件かを問わず、すべてが裁判員裁判として行われることになる。

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2008.05.03

激動する刑事司法について考える

 政府は、2008年4月15日、重大な刑事事件の刑事裁判に、市民から選ばれた裁判員と裁判官が事実認定と量刑を判断する裁判員制度の開始を2009年5月21日からとする政令を閣議決定し、早ければ同年7月末ころから裁判員裁判の公判が開始されることが決まった。

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2008.01.26

警察庁の取り調べ適正化指針について考える

 警察庁は、2008年1月24日、昨年の鹿児島県の志布志の選挙違反事件や富山県での強姦事件の再審無罪判決を受けて、「取り調べ適正化指針」(以下「指針」という)をまとめた。

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2007.03.18

ライブドア事件・堀江元社長の事件における公判前整理手続と連日的開廷の功罪

 3月16日、東京地方裁判所刑事1部(小坂敏幸裁判長)は、ライブドアの元社長であった堀江貴文氏の粉飾決算に関する証券取引法違反被告事件について、懲役2年6月の実刑判決を言い渡した。弁護人は判決を不服として即日控訴し、再保釈も認められている。

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