映画

2009年7月25日 (土)

【映画】「湖のほとりで」

映画「湖のほとりで
原題 LA RAGAZZA DEL LAGO/THE GIRL BY THE LAKE
監督 アンドレア・モライヨーリ
原作 カリン・フォッスム
音楽 テオ・テアルド
脚本 サンドロ・ペトラリア
キャスト トニ・セルヴィッロ、ヴァレリア・ゴリノほか
製作国・地域 イタリア   上映時間: 95分
製作年度 2007年

 北イタリアの小さな村にある湖のほとりで、美しい少女アンナの死体が発見され、村に越してきたばかりの刑事サンツィオ(トニー・セルヴィッロ)は、犯人を捜そうと、村人たちに話を聞いていくうちに、アンナと交際していた若い男性を逮捕するが否認を続ける。その後も捜査を続けるうちに、村人たちが抱える様々な事情を知るようになり、最後には本当の犯人に行き当たるというストーリー。

 いくつかの映画評で、この作品を高く評価していたことから、この作品を見たが、正直言って、少々分かりにくい展開だと思った。劇場用パンフレットを読んで、ようやく詳細を理解できたが、感動させられる作品とは言い難いように思った。

 基本的にはミステリーであるが、描かれるのは、ミステリーの形式を使った人間ドラマであり、それが緩いテンポで描かれている。

 人は誰もが、様々な困難を抱えて生きているが、それを身近な人にも伝えられずに生きているということが全編を通して描かれている。主人公とも言うべき刑事も、妻が認知症となって徐々に自分のことを忘れて行っているという状況で、そのことを伝えられないために、娘との関係がうまくいかない状況にあり、私生活上も悩んでいる様子が描かれる。

 都会とは離れた片田舎においても、人が抱える悩みや苦しみがあることを描かれ、それが、アンナの人生が明らかになる中で、徐々に、人々を癒していく。それは主人公の刑事の心をも癒したことがラストシーンで示されている。

<参考になる映画評>
 Love Cinamas 調布
 佐藤秀の徒然幻視録

| | コメント (0) | トラックバック (3)

【映画】「アマルフィ 女神の報酬」

映画「アマルフィ 女神の報酬
監督 西谷弘
原作 真保裕一
音楽 菅野祐悟
キャスト 織田裕二、天海祐希、戸田恵梨香、佐藤浩市ほか
製作年度 2009年
上映時間 125分

 フジテレビ開局50周年記念として、織田裕二主演で、オール・イタリア・ロケで作られた作品。「お祭り」として気楽に見るのが正解だろう。

 娘と2人連れでイタリアに来た矢上紗江子(天海祐希)は娘を誘拐される。ちょうど、G8の外相会議が開かれることから、イタリアの日本大使館に派遣されてきた外交官・黒田(織田裕二)はその誘拐事件の捜査に関わるようになるが、やがてそれは単なる誘拐事件ではなく、真の目的は、G8の外相会議に対するある人物に対するテロに繋がっていた・・・というストーリー。

 全編、イタリアロケということもあり、イタリアの町並みやきれいな海を見て、海外旅行でもしている気分になれることは確かである。

 この映画に対しては厳しい批判もあるが、誘拐事件からテロへの繋がるストーリー展開については、それなりに楽しむことができた。あちこちに設置された防犯カメラや、GPSやセキュリティシステムが重要なアイテムとして使われている点も興味深かった。

 在外公館の中の「お役所主義」「事なかれ主義」もさりげなく描かれている点も面白かったし、日本による海外援助に対する批判的な取り上げ方もユニークだった。

 実年齢としても大人になった織田裕二が、言葉少なく、「外交官」としてのプロフェッションに徹した渋い演技をしているのも好感が持てた。

 この映画の終盤近くでは、銃撃戦になるかと思わせて、一切、銃撃がないまま、織田裕二もただ言葉での説得だけで解決させるシーンがある。拍子抜けとも言えるが、「外交官」としての仕事のあり方を示そうとしたのだろう。

 映画のエンドロールには、昨年の年末から年明けのイタリア市民が新年を喜び合うシーンが映し出されるが、それまでの映画の調子とは異なって、開放感があり、イタリア市民の幸せそうな様子が映し出されており、この映画の終わり方としてはこれで良かったと思った。

<参考になる映画評>
 Love Cinemas 調布
 佐藤秀の徒然幻視録
 Lovely Cinema

| | コメント (0) | トラックバック (6)

2009年7月 7日 (火)

【映画】「愛を読むひと」

映画「愛を読むひと
原題 THE READER
監督 スティーヴン・ダルドリー
製作総指揮 ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
原作 ベルンハルト・シュリンク
脚本 デヴィッド・ヘア
キャスト ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デヴィッド・クロスほか
製作国 アメリカ/ドイツ
上映時間 124分
製作年度 2008年

 本作は、ドイツのベルンハルト・シュリンクの「朗読者」の映画化である。

 1958年のドイツが前半の舞台であり、15歳のマイケル(デビッド・クロス)は、21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と恋に落ち、やがて、ハンナはマイケルに本の朗読を頼むようになった。ある日、ハンナは突然マイケルの前から姿を消したが、数年後、法学専攻の大学生になったマイケルは、ナチス戦犯を裁く法廷の被告席にいるハンナを見つけ、彼女の法廷を傍聴し続ける。

 ナチスの親衛隊として、収容所の看守をしていたというハンナは、他の看守たちの口裏合わせから、自分が全てを知る立場にあったと認定されて無期刑を言い渡される。
 マイケルは、裁判の途中で、ハンナが文盲であったことに気づき、それが法廷で明らかになれば、ハンナにとっては刑を軽くするのに役立つと考えるが、ハンナがそれを秘密にしていることから、マイケルはそれを言えないままだった。マイケルは、一度、刑務所に面会に行ってそれを助言しようとするが、勇気を出せずに、面会しないまま帰ってきてしまう。

 その後、マイケル(レイフ・ファインズ)は、以前、彼女に朗読した本を朗読して、録音テープを刑務所に差し入れるようになる。ハンナは、刑務所の中の図書館でその本を借りてきて、朗読を聞きながら、言葉を少しずつ勉強するようになり、手紙を書いてマイケルに送ってくるようになる。
 入所して20年後、ハンナに仮釈放が認められるようになり、マイケルは、彼女が住む部屋を借りて受け入れようとする。しかし、出所する日、ハンナは自ら命を絶ってしまうというストーリー。

 ナチス・ドイツにおける戦争下という異常な状況下で、単なる下っぱの看守で、文盲でもあったハンナを裁く法廷シーンについては、色々と考えさせられる。本当に悪いのはそのずっと上司であるはずなのに、下っぱの者が厳しく処罰されることの矛盾や不条理を痛感させられる。そこでは、「正義」とは何かということが常に問い返される。

 マイケルは、15歳の時に出会って恋愛したハンナのことが忘れられず、弁護士になって、結婚もするが、その後離婚して、一人で生活し、他人との人間関係の構築が苦手な生き方をしている。そのマイケルが、本を朗読してテープに録音して、刑務所にいるハンナに送り続ける行為は、無償の愛を体現するようで心を打つ。
 そして、仮釈放されて出所するハンナを待ち続けていたのに、結局、ハンナは自ら命を絶ってしまい、永久の別れをすることになってしまう。

 本作は、ユダヤ人を虐殺したドイツ人の責任のとり方に対する一つの問題提起をするものだと考えられる。

 私は数年前に、アウシュビッツ収容所跡を見学した。大量のユダヤ人を虐殺したことは、決して現場の下っ端がやっていたことではなく、国家的なレベルで上からの指示に基づいてなされていたにもかかわらず、上の方の幹部は証拠を隠滅して責任から逃れようとしたと言われている。
 アウシュビッツ収容所跡を見ると、極限状態に置かれた人間が、一体どこまで残酷になれるのか、ということをまざまざと思い知らされる。ドイツと同盟関係にあった日本にもその責任が全くないとは言えないはずであり、日本人であれば、是非、アウシュビッツ収容所跡を見る義務があると思う(唯一の日本人ガイドの中谷剛「アウシュヴィッツ博物館案内」凱風社はお勧めである)
 ちなみに、本作でも、大学生のマイケルが、アウシュビッツ収容所跡を見に行っていると思われるシーンが登場する。

 原作にはないようだが、映画の最後に、マイケルが、自分の一人娘を誘って、ハンナの墓の前に行き、自分とハンナとの関係について語り始めるシーンがある。 歴史が語り継がれることによって次の時代が作られること、そして同じ過ちを犯さないことが重要であることを示唆しているようである。

 本作は、見終わった後に、深く考えさせられる映画である。

<同感であると考える映画評>
 佐藤秀の徒然幻視録「愛を読むひと

| | コメント (1) | トラックバック (0)

【映画】「The Harimaya Bridge はりまや橋」

映画「The Harimaya Bridge はりまや橋
原題 THE HARIMAYA BRIDGE
監督 アーロン・ウールフォーク
製作総指揮 ダニー・グローヴァー 、キム・ウィジュン
脚本 アーロン・ウールフォーク
キャスト ベン・ギロリ、高岡早紀、清水美沙、ダニー・グローヴァー、misono、白石美帆、穂のか ほか
上映時間 120分
製作年度 2009年

 日米韓の合作の作品であり、基本的には、アメリカ人のための映画のために、映画の全編にわたって、映画には日本語字幕、日本語には映画字幕がつき、英語の会話が多くを占めている。

 高知県でアメリカから来た黒人男性が交通事故で死亡するが、その彼が生前に沢山の絵を描いていたことを知った父親が、高知に来て、息子の絵を集めて、アメリカに持ち帰ろうとする。その世話役を、高知の教育委員会の人たち(清水美沙、misono)を担当するが、やがて、死亡した男性が日本人との間に子供がいることを知り、その日本人女性(高岡早紀)と会う中で、徐々に日本に対して持っていた誤解や偏見が解消されていくというストーリー。

 第二次世界大戦の際に、父親が捕虜になった際に無残に殺されたことから、日本に対して許せない気持ちを持って日本に来た主人公(ベン・ギロリ)は、日本において、息子がどのように生活していたか、そして、日本人に暖かく受け入れられていたことを知るにつけ、自分が日本に対して抱いていた偏見が少しずつほぐされていく。

 全編にわたって、高知のまだ自然がそのまま残された田舎の美しい風景が描かれており、それが見る者の心を癒してくれる。

 「国際結婚」が当たり前になりつつある日本において、高知という日本でもまだまだ保守的な地域において、黒人男性との結婚を選んだ女性(高岡早紀)の行き方を通して、日本人の側にある黒人に対して抱く偏見についても、この作品は描いている。

 この作品では、そのお互いの文化や人種の差を、絵画や音楽が埋めてくれることが描かれている。

 地味だけど、異なる人種の間での偏見について考えさせられる作品である。

<参考になる映画評>
 LOVE Cinemas 調布

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【映画】「レスラー」

映画「レスラー
原題 THE WRESTLER
監督 ダーレン・アロノフスキー
製作総指揮 ヴァンサン・マルヴァル 、アニエス・メントレ 、ジェニファー・ロス
脚本 ロバート・シーゲル
キャスト ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッドほか
製作国 アメリカ
上映時間 109分
製作年度 2008年

 かつては人気を極めたレスラーのランディ(ミッキー・ローク)は、今では落ち目のレスラーをしていたが、ある試合の際にステロイドの副作用のために心臓発作を起こして病院に運ばれ、医者からレスラーを辞めるように指示される。そのため、ランディは、一時はレスラーを辞めることを決意し、長らく会っていなかった一人娘との関係修復を図ろうとするが失敗し、行きつけの店のストリッパーの女性にも振られ、人生に絶望する中で、もう一度、レスラーとしてリングにたつことを決意し、最後の試合に全力をかけるというストーリー。

 娘に対しても、女性に対しても、不器用な行き方しかできない主人公の居場所、活躍する場所はプロレスのリングの上にしかない、観客が自分の名前を連呼して応援してくれる以上、リングの上で闘い続けたいという主人公の生き様に、心打たれるものがある。

 アメリカではわずか4館での上映からスタートしたこの作品は、その後全米で上映され、全世界の映画賞54冠に輝いたという。今の時代にあって、このストーリーがそれだけリアリティによって裏打ちされているからだろう。

 人生を、障害物を避けるようにうまく生きることがあたかも良いことであるように喧伝されているが、この作品は、自分の居場所で全力で生きることの素晴らしさを訴えてくれている。

<同感だと思った映画評>
 LOVE Cinemas 調布

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年7月 6日 (月)

【映画】「60歳のラブレター」

映画「60歳のラブレター
監督 深川栄洋
キャスト 中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵ほか
上映時間 129分
製作年度 2009年

 熟年夫婦が互いへの感謝の言葉をはがきにつづり、これまでに8万通を超える応募が寄せられた人気企画「60歳のラブレター」を映画化した作品だという。

 この作品は、3つのカップルが主人公だが、それぞれのカップルが微妙に関わりながら、ストーリーがハッピーエンドの方向に向かっていく。脚本(古沢良太)が大変によく出来ている。

 60歳というと老人というイメージであるが、この作品で描かれるのは、団塊の世代の男女であり、決してそういう感じはない。

 3つのカップルとも、自分の本当の気持ちを伝えられない不器用な者たちが、徐々に自分の気持ちを相手に伝えられるようになっていき、カップルとして新たな関係を構築できるようになっていく過程が丁寧に描かれている。大団円に向かっていく様が心地よく、最後には涙なしでは見れなくなる。

 これは、むしろ若い人たちに見て貰いたい映画だと思った。いろんなことに手遅れにならないために。

<同感だと思った映画評>
 LOVE Cinemas 調布

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【映画】「ハゲタカ」

映画「ハゲタカ
監督 大友啓史
キャスト 大森南朋、柴田恭兵、玉山鉄二、栗山千明ほか
上映時間 134分
製作年度 2009年

 NHKの土曜ドラマ「ハゲタカ」の映画版。ドラマから数年後の日本(現在の日本)を舞台に、日本の大手自動車メーカーに対して買収を仕掛けてくる中国系ファンドと、鷲津政彦が代表の鷲津ファンドが、ホワイトナイトとして登場して繰り広げられる激しい闘いを描いている。

 この映画では、中国系ファンドの代表である劉一華(玉山鉄二)が重要な役を演じている。彼は、中国の貧しい農村に生まれ、日本の大手自動車メーカーのスポーツカーにあこがれを持っていた。その彼が、鷲津の背中を見て、鷲津の追い越そうというライバル心を燃やしてこのマネー戦争に臨んでいた。

 最近のサブプライムローン問題で世界的な金融不安の状況の中で、鷲津は、世界規模でのマネー戦争を仕掛けるが、大変にスリリングで見応えがあった。

 この映画の後、見ていなかったNHKテレビ版の「ハゲタカ」(全6話)を見た。こちらは、バブル崩壊後の1998年以降10年位を描いているが、鷲津が銀行員時代に貸し渋りをした融資先の製作所の社長が自殺するという苦い経験を常に原点にして、それを胸に秘めつつ、日本企業を買収していく鷲津のやり方が、単なる「ハゲタカ」じゃないことを示しており、映画版以上に、人間ドラマであると感じた。映画版を見た人は是非、テレビドラマ版も見てもらいたいと思った。

<同感であると感じた映画評>
 LOVE Cinamas 調布

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【映画】「ディア・ドクター」

映画「ディア・ドクター
監督 西川美和   
キャスト 笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子ほか
上映時間: 127分
製作年度: 2009年

 このブログも多忙のために更新できないままだったが、執筆の方針を転換して、とにかく、私が見たり読んだりしたメディアをメモ的に記録することにしたいと思う。

 第2作目の「ゆれる」を見て、大変に人間心理の奥深さを描く女性監督の第3作目である。

 この映画の主人公は、無医村に、村から年収2000万円で雇われた「医師」である。ところが、この「医師」は資格を持たない偽医者だったが、偶然や診療所の看護師に助けられながら、村人からは絶大な信頼を得るようになっていく。
 診療所の来れない患者のために、自宅まで出かけて行って診察したりする。この村に来た若い研修医はその姿勢に感動して、医者になったらその診療所に来たいと申し出る。

 そのような状況の中で、主人公の医師は、、いつか、自分が無資格であることがばれるのではないのかを恐れて、いつも苦悩している。自宅では、必死に医学書を読んで勉強したりする姿が描かれている。

 西川監督のインタビューを読むと、「絶対的な正義」なんてないのではないか、小さな村の村人にとっては、ちゃんとした医師に来てもらうこと自体望むことができず、たとえ、無資格な医師であっても、村の診療所にいてくれることに満足していたのではないか、ということがテーマであるようだ。

 前作の「ゆれる」と比べると、テーマが地味であることもあり、全体に緩い流れで、盛り上がりに欠ける印象ではある。ただ、見終わった後、じーんと考えさせられる良作だと思う。

 「自分は、果たして、世の中から必要とされているのだろうか」という問い---そしてそれは自分自身の存在意義は何かという根源的な問いでもある---は、誰もが思っている。
 この映画は、その問いに対して、一つの回答を出しているのだと思う。

<同感だと思った映画評>
 LOVE Cinemas 調布
 佐藤秀の徒然幻視録「ディア・ドクター~鶴瓶の偽医師に乾杯

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2009年2月28日 (土)

【映画】「少年メリケンサック」

映画「少年メリケンサック

監督・脚本 宮藤官九郎
エグゼクティブプロデューサー 黒澤 満
プロデューサー 岡田真、服部紹男
撮影 田中一成
美術 小泉博康
編集 掛須秀一
音楽 向井秀徳
製作年度 2008年
製作国 日本
上映時間 125分
配給 東映

 宮藤官九郎の監督2作目となる作品である。

 レコード会社に勤めるかんな(宮崎あおい)は、動画サイトでイケメン4人組のパンクバンド「少年メリケンサック」のライブ映像を発見し、レコード会社の社長に勧めたところ、その社長(ユースケ・サンタマリア)は若い頃にパンクが好きだったということから、かんなに彼らとの契約をとるように命じる。

 ところが、彼らと契約するためにメンバーに会いに行くと既に50歳過ぎのオヤジで、かんなが見た映像は25年前の解散ライブの時のものだった(かんなは、そこに書かれていた1983年を誕生日だと誤解していた)

 しかし、既に社長が本気になり、ホームページで告知したところ、全国からライブのオファーが殺到し、この中年バンド(佐藤浩市、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城)と一緒に全国でのライブツアーに同行することになる。 最初は散々の出来だったが、徐々にライブが盛り上がるようになり、最後にはテレビ出演を果たし、全国的に有名になるというストーリー。

 映画では、途中で、インタビューが挿入されるなど、ドキュメンタリー風に撮られ、基本的にはロード・ムービーだが、それぞれの場面で昔の回想シーンが挿入されるなど、なかなか凝った作りで、回想シーンを見て行くと、ギター(木村祐一)、のとベース(佐藤浩市)の兄弟間の確執の真相が徐々に分かってくる。

 この作品では、宮藤監督が雑誌のインタビューで述べていたが、「下品さ」にこだわっており、随所で下品なネタが出てくる。これに堪えられない人にはあまりお勧めできないが、パンクが持っている猥雑さを表現していると思った。

 私も学生時代に、アナーキーというバンドのパンクをよく聴いていた。当時は、スターリンなども話題になっており、若者がパンクで熱くなっていた時代だった。セックス・ピストルズも衝撃的だった(この映画の中でも、メンバーがセックス・ピストルズの再結成が批判的に語るシーンがある)

 良くも悪くも、パンクにはスピード感や熱狂感があり、それが若者を熱くさせていたんだと思う。
 それが、その後、ダンス・ミュージックにとって変わられ、健全な音楽が主流となっていった。

 この映画は、そういうパンクの持っていたエネルギーや疾走感を伝え、パンクの持っていたパワーを伝えてくれる作品だと思う。多くの若者がこの映画を見に行っているというのは、うれしいことだと思う。

 こういうテーマをエンターテイメント作品にしてしまうあたりが宮藤監督の才能だと感じた。

【参考になる映画評】
Love Cinemas 調布
日々“是”精進!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 4日 (水)

【映画】「マンマ・ミーア!」

【映画】「マンマ・ミーア!」

監督 フィリダ・ロイド
製作総指揮 ベニー・アンダーソン 、ビョルン・ウルヴァース 、リタ・ウィルソン 、トム・ハンクス 、マーク・ハッファム
脚本 キャサリン・ジョンソン
音楽 ベニー・アンダーソン 、ビョルン・ウルヴァース
製作年度 2008年
上映時間 108分

 全世界170都市以上で上演され、空前の大ヒットを記録した同名ミュージカルの映画化作品である。

 舞台はギリシャのエーゲ海に浮かぶ小さな島。島でホテルを経営する母(メリル・ストリープ)の女手ひとつで育てられた娘(アマンダ・セイフライド)の結婚が決まり、母親の日記に記してあった3人の父親候補に、母に内緒で結婚式の招待状を送る。島に来た3人の父親候補の全員から自分が父親で結婚式でエスコートしたいと言われて困惑するまま、結婚式を迎えるが・・・というストーリー。

 この作品は、全編にわたりABBAのヒット曲を満載したミュージカル映画であり、若い頃に何度も聴いたあの曲、この曲が次から次へと登場し、「ここでこの曲が来るか」と楽しめる。もっとも、原曲の美しいボーカルと比較すると、役者さんのボーカルは若干違和感を感じる箇所もあり、映画を見終わった後、ABBAの美声を聞き直したいと思わせられた(実際に、ABBAのベスト盤「GOLD」を買って聞いた)。

 ストーリーは、結婚式を迎える娘が主役かと思いきや、やはり、主演のメリル・ストリープが主役の映画だった。その意味で、この映画を観るのは若者向きというよりも、アラサー以上の女性向きの映画かもしれない。

 最近は、ミュージカルが映画になるケースが多いが(最近では「シカゴ」)、この傾向は続きそうである。

 本作品は、改めて、ABBAの楽曲の素晴らしさやその歌詞の深さを教えられ、見ていて元気にさせられた。アメリカの映画館では、観客のみんなが一緒に歌って盛り上がったようである。そういう映画も珍しい。

 特に、この映画でもっとも盛り上がるのは「Dancing Queen」であり、ラストを飾ってもいる。ただ、この映画の本当のラストに流れる「Thank you for the music」もしっとりとしたバラードでエンディングにふさわしい。

 ある程度、人生で苦労して、ABBAが好きな女性には、特にお勧めできる映画である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

映画 | 書籍 | 漫画 | 雑誌 | 音楽